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【清春】たどり着いた“極彩色”の音楽 咲き…散り…REBORN

2012.11.16


清春【拡大】

 ロックバンド「黒夢」、「Sads(サッズ)」のボーカルとして、若者を中心にカリスマ的な人気を博した。

 テレビドラマの主題歌となった大ヒット曲「忘却の空」で歌ったのは、わき上がる破壊衝動や青春の傷跡。そんな荒涼としたモノクロの心象風景を激しいロックで表現した末にたどり着いたのは、極楽浄土を思わせるカラフルな世界だった。

 「色でいうなら極彩色。華やかで、はかなくて。ひたすら激しい音を求められていたバンドのころとは違って、今の僕の音楽にはしっくりくる色です」

 そう振り返るのは、7日に発売された新アルバム「UNDER THE SUN」での赤井勝氏とのコラボレーション。「花人」と称するフラワーデザイナーの赤井氏が、アルバムジャケットと表題曲のミュージッククリップでアートワークを手掛けた。

 時に毒々しく、時に神々しく咲き乱れる花々が退廃的な歌の世界観と見事にリンクしている。

 「(赤井)先生を友人に紹介されたのが今回のプロジェクトのきっかけです。『花は摘んだ時点で死んでる』という先生の言葉にハッとさせられた。一度死んで、飾られることでまた再生する。生と死を行きつ戻りつしているというか…。今回描きたかったのも、まさにそんな世界観だったんです」

 「おじさんが陶芸家で、小さいころは絵を習っていた」というだけに、もともと色彩へのこだわりは強いほうだ。アパレルブランドを手掛け、自ら衣装のスタイリングもこなす。

 

 独自の美意識は、音楽に目覚めた原体験を機に加速した。

 「中学まではバリバリの野球少年だったんですよ。生まれが岐阜だから、もちろん応援する球団はドラゴンズ。いっつも球団の野球帽をかぶってた(笑)」

 ドラゴンズカラーの青に染まっていた少年が色彩を帯び始めるのは、高校入学後のある出合いから。

 「先輩の下宿先に遊びに行ったら、当時人気だった日本のインディーズ・バンドのポスターやレコードがいっぱいあったんです。そのビジュアルが衝撃的だった。男なのに化粧してる。こんな世界もあるんだって」

 なかでも影響を受けたのが、「ビジュアル系の元祖」ともいわれるパンクバンド「THE WILLARD(ザ・ウィラード)」。コピーバンドを組むほど熱中した。

 「あの妖艶(ようえん)な魅力が、僕の中でのロックの原点。変わらない美学というか、自分の中のロックスターのイメージは当時見ていたミュージシャンの姿なんです」

 

 デビュー当初は、自身が思う「ロックスターのあるべき姿」のままに、髪を逆立てメークをしてステージに上がった。

 だが、キャリアを重ねるうちに装いはどんどんシンプルになり、いつしか武骨な革ジャンが似合う「硬派なロッカー」へと変わっていった。

 それが今回のプロジェクトでは、色とりどりの花に囲まれてかつて放っていた中性的であやしげな雰囲気を取り戻している。しかしこれは、単なる原点回帰ではないようだ。

 「5年前におやじが、がんで死んじゃって…。ずっと元気だったからショックでしたね。そんなこともあって音楽観も変わった。生きること、死ぬことの意味を改めて見つめ直した。そんな今の僕の頭の中の感覚をカタチとして残したかったんです」

 華やかに咲いて、はかなく散る。そしてまた、人の手を介して新たな命を吹き込まれる。そんな花の輝きに、自らの半生を投影させたのだ。(ペン・安里洋輔 カメラ・鴨川一也)

 ■きよはる 1968年10月30日生まれ、岐阜県多治見市生まれ、44歳。高校在学中に音楽活動を始め、94年、ロックバンド「黒夢」のボーカリストとしてメジャーデビュー。99年に同バンドが無期限の活動休止となり、同年、「Sads」を結成。2000年に発表したシングル「忘却の空」がドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の主題歌となり大ヒット。03年にはSadsも活動を休止し、ソロアーティストに。現在までに19枚のシングル、6枚のオリジナルアルバムをリリースしている。7日に3年ぶりの新アルバム「UNDER THE SUN」(エイベックス・エンタテインメント)をリリースした。

 

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