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【三浦明利】女性僧侶、自然に流れる“音楽と縁” 仏教色豊かなアルバムリリース

2013.01.23


三浦明利【拡大】

 女性の僧侶で、寺の責任者である住職を務める。そのうえ、ギターを持ったシンガー・ソングライター。見た目や行動のすべてが異色と思いきや、本人はいたって「自然の流れ」と感じていた。

 「もともと仏教で女性の僧侶は珍しくありませんでした。社会が男性中心で形成されていくうちに、お坊さんは男性という概念が浸透しただけのこと。また、仏教には音楽と常に一体となって広まってきた歴史があります。お経も、ある意味では音楽。お坊さんは昔からミュージシャンだったのだと、最近では思っています」

 お寺の一人娘として生まれ、幼い頃から「いつかは寺を継ぐのかも」と漠然と思っていた。しかし、先代住職の父から後継者となるよう言われたことは皆無。そんななかで「仏教の理解を深めたい」と、仏教系の大学に進学した。

 仏教を学びながら、バンドを組んで音楽活動にも熱中。大学院に進み、研究、音楽とも充実するなか突然、人生に狂いが生じた。

 住職の父が寺と家族を捨て、家を飛び出してしまったのである。

 「大好きだった音楽もやめなければならなかったし、大学院も休学しました。そのときに大事だったものはすべてやめ、お寺に帰って住職になったのです。これもひとつの縁とはいえ、私にとってはとても都合の悪い縁でした」

 父とはその後、音信不通。当時のいきさつについては多くを語ろうとはしないが、父はオトナの事情を抱えて去っていったようだ。

 “消えた”家族、慣れない住職の座…。戸惑いの日々が続いたものの、最近になってようやく心の整理がついたという。

 「私にとってすごく都合の悪い縁でさえも、ご仏縁だったのだな、と。『縁』は仏教の思想。人との出会い、ものごとやできごととの出合いによって自分が形づくられ、支えられ、生かされているという教えです。振り返る時間は必要でしたけれど、今ではあのことも大切な縁だったと思っています」

 衝撃的な形だったとはいえ、寺を継ぐ夢はかなえた。幸い音楽活動も再開し、メジャーデビューも果たした。ミュージシャンとして、念願だったアルバムもリリースできるなど、次々とよい“ご縁”に恵まれている。一昨年には同じく僧侶の男性と結婚した。

 アルバムは自ら作詞、作曲を手がけた曲のほか、浄土真宗の宗祖、親鸞の「恩徳讃(おんどくさん)」。さらに法話も含め、仏教色豊かな内容にまとめた。

 僧侶だけに、声が印象的だ。よく通るだけでなく、スッと胸に染みてくるような不思議な力がある。

 「バンドではギタリストだったので、歌に苦手意識を持っていた時期もありました。最近になって、声により感情を乗せられるようになったと実感しています。結果的に、お経がよいボイストレーニングになったのですね」

 夫は本山で研究職として働きつつ、寺では副住職として自らを支えてくれている。

 「仏教界で女性の僧侶は多くても、住職の数は多くありません。女性の住職というひとつのモデルになれたら、と思っています。これから出産というご縁があるかもしれませんが、住職は続けます。(子供ができたら)仏教、そして音楽がどういうふうに味わい深くなるのか、とても楽しみです」

 年月を経て再びインタビューするご縁があったときには、どんな深みのある住職、シンガー・ソングライターになっているのか。今からその日が楽しみだ。(ペン・久保木善浩 カメラ・高橋朋彦)

 ■みうら・あかり 1983年5月9日生まれ、29歳。奈良県出身。浄土真宗本願寺派の光明寺(奈良県大淀町)住職、シンガー・ソングライター。龍谷大大学院修了。大学院では仏教音楽を研究した。2008年から光明寺住職。その後、音楽活動を再開し、11年にCD「ありがとう〜私を包むすべてに〜」でメジャーデビュー。「美し過ぎる住職」、または「慈しみ系シンガー・ソングライター」などとして注目される。昨年12月、初のアルバム「灯り−akari−」(オーマガトキ)をリリースした。著書に『わたし、住職になりました』(アスペクト)。

 

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