常盤自ら“好きな人”に告白したときのことも教えてくれた。
「大林(宣彦)監督の映画に出ることが、20年来の夢だったんです。大河ドラマ『天地人』(09年)で、新潟の長岡出身のお船の方を演じたのが縁で、長岡の花火大会を見にいったとき、大林さんにお会いしたんです。思わず駆け寄って『ずっと大林さんの映画が好きでした』って告白しちゃって。夫(長塚圭史)も大林さんのファンなんです」
大林監督がその花火大会を描いた「この空の花 長岡花火物語」(12年)を長塚と一緒に見にいったときのことだ。
「私、号泣しちゃって。そうしたら隣で夫も大泣きしているんです。夫は、クリエーターとして、物づくりの大変さが分かるだけに、『大林さんの仕事は素晴らしい。大林さんは戦っている』と私よりも感激していました」
結局、常盤は大林作品「野のなななのか」に主演、今春の第29回高崎映画祭では最優秀主演女優賞のご褒美までもらった。
「叶わなかった夢もたくさんあります。でもそれは、もともと必要のなかった夢なのです」
このポジティブな姿勢が彼女のたくましさだ。 (ペン・小張アキコ カメラ・荻窪佳)
■ときわ・たかこ 女優。1972年4月30日、神奈川県生まれ。43歳。95年、ドラマ「愛していると言ってくれ」で、第1回エランドール賞新人大賞を受賞。その後、ヒット作、大作に相次いで出演。映画は、99年に香港映画「もう一度逢いたくて〜星月童話」でレスリー・チャンと共演。「赤い月」(2004年)「20世紀少年」シリーズ(08、09年)「CUT」(11年)「汚れた心」(12年)などに出演。
09年、劇作家で演出家、俳優の長塚圭史と結婚した。