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【ABS世代が「シニア」を変える】「人間の固定概念」は商機を逃す!? サザエさん「磯野夫妻」と「唐沢夫妻」にみるシニアイメージ

 現在のシニア調査には問題点が2つあります。ひとつは前回提言した「60歳以上」をシニアとして「十把一絡げ」で捉えていること、そしてもうひとつは「人間の固定観念」です。

 私(鈴木)が所属している(一社)日本元気シニア総研の創設者・富田眞司顧問は常々、「シニアの有益な調査リポートが少ない」と発言しています。それは固定観念で考えた仮説をもとにしたアンケートだからです。

 私は39歳で再開したディスコ通いを現在まで20年間続けるなかで交友関係から対話を繰り返し、結果的にVOC(Voice of Customer=顧客の声)収集を行ってきました。

 「現場に出かけ、人との対話を通じて世の中を知る」、そして「仮説力を磨く、ニーズを洞察する」ことの重要性を再認識したのです。現場や顧客の本音を知ると、いかに固定観念にとらわれたマーケティングが行われているのかがよくわかります。

 人間は基本的に、高齢になると「夢は無くなる、体が悪くなる、先細っていく…」という固定観念があります。実際、自分が年齢を重ねるとそんな気がしてくるのです。しかも、本人の意識以上に周囲や社会そのものが「年寄り扱い」することから暗示をかけられ、自分は老けた…とさらに思い込むのです。

 最近、ある調査で「シニアの興味関心はやはり旅行だった!」という結果を見かけました。まず違和感を覚えたのは調査対象者「50-79歳の男女」という前提。親子ほど年齢が離れている世代なのに、いきなりシニア十把一絡げです。

 「旅行」という結果も、『興味関心が高い事柄にチェックをつけてほしい』という問いで複数回答であれば、誰でも「旅行」にチェックをします。また、興味関心の中には『健康づくり』もありました。確かに、後期高齢者は体の衰えから健康が目的化します。しかし60代は、何かを楽しみたいから健康でありたいわけで、健康は目的ではなく楽しく生きるための手段です。

 「シニアは旅行や健康づくりが楽しみだろう」という考えは、調査を企画した人間の固定観念と思えます。シニアを「十把一絡げでくくり、固定観念で考える」ことは需要創造の芽を摘み、ビジネスの可能性を無くします。

 固定観念で思い出すのは「サザエさん」。昭和44(1969)年の放送開始時に磯野波平さんは54歳、フネさん52歳です。今だと俳優の唐沢寿明(55)、山口智子(54)夫妻とほぼ同年代です。昭和44年と令和元年でこんなに異なるのに、実際のシニアマーケティングはいつまでも磯野波平さん=シニアのイメージで捉えている気がしてなりません。

 やはり、同じシニアといっても「世代別で捉える」ことが大切です。次回からはABS世代が生まれてから今日までの背景を、その社会背景とともに振り返ってみましょう。

 ■鈴木準 1960年生まれ。一般社団法人日本元気シニア総研主任研究員。ジェイ・ビーム代表取締役。マーケティングコンサルタント。広告代理店を経て37歳で起業。企業のモノやサービスのコンセプト開発、プロモーション戦略に関わっている。

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