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山根さんを見てワクワク!? 今まで触れ合った“コワモテ会長”の思い出

 「先生と言われるほどのバカでなし」は、「先生」を「会長」と置き換えても通用する皮肉でしょう。世間からのバッシングを受けまくる日本ボクシング連盟の前会長、山根明さんです。

 正義感旺盛の世間の皆様からご批判を受けるかもしれませんが、私はテレビで山根さんを見て、ワクワクしたのです。梶原一騎大先生以来ではないかという、あの、人を威圧する色付きサングラスと風体。ズバリ暴君だったであろう山根さんに振り回された方たちには悪いのですが、ほれぼれしてしまった駄目な自分がいるのです。

 山根さんは会長職を追放され、この後どうなるのか? 結局ああいった大型肉食恐竜のような人間は絶滅するしかない世の中なのです。

 私も今までさまざまな会長と触れ合ってきました。思い出の会長は“サラ金王”と呼ばれた杉山治夫さんです。

 「世の中、金や!」と豪語し、高金利で貸し付けて、返せない人間の腎臓を売らせて回収するなど、金の亡者だった杉山さん。ワイドショーに度々登場してはミッキー安川さんとやりあって、最後はブチ切れ。「これが欲しいんだろ!」と札束をばらまく姿に、小学生だった私は震え上がったものです。

 この世界に入ってある日のこと、低俗なバラエティー番組(褒め言葉)に出演していたときに、その杉山さんと共演することになりました。

 番組ではミッキーさんと一緒に東京・新宿にある杉山さんの事務所を訪ねる設定でした。2人の激しいやり取りを小学生から見ている私ですから、当日、またとんでもないつかみ合いになるのではないかとハラハラしていました。

 いざ、本番! ミッキーさんが杉山さんを激しい言葉でののしります。キレた杉山さんが事務所の金庫を開けて札束をつかみ、ばらまきます。私もその札束を浴びました。

 ところが、エスカレートしてしまった杉山さんが、飾ってあった刀を手にします。私が「ミッキーさんが危ない!」と思ったその瞬間。

 「杉山さん、それやりすぎだよ! 刀は持っても抜くなよ!」

 ミッキーさんが素に戻り、杉山さんを諭します。忠告を受けた杉山さんも「あっ、そっか。やりすぎか! すまん、すまん」と刀を元の場所に戻して、撮影は再開となりました。

 激しいやり取りが終わって一服すると、ミッキーさんが「杉山さん、あそこ良かったぞ!」と声を掛けます。それに杉山さんも「金をまくの、もっと引っ張ったほうが良かったかな?」。激しいやり取りをしていた2人が仲良く話しています。

 犬猿の仲かと思われた2人は、しっかりとテレビの視聴者を意識してやり取りをしていたのです。私は「大人だなぁ…」といたく感心したのです。

 山根さんの騒動も実は、こういう「大人だなぁ…」と思わせてくれる騒動だったら…と願っている、全日本スナック連盟会長の私なのでした。

 ■玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) お笑い芸人。1967年6月22日生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入り。TBSラジオ「たまむすび」(金曜)、TOKYO MX「バラいろダンディ」(火曜)にレギュラー出演中。2013年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」(講談社)、「スナックの歩き方」(イースト新書)など。

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