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【女優20年 米倉涼子というアイコン】「武蔵と小次郎」どっちも好きになり、どちらにも好かれた女 『武蔵 MUSASHI』

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 今年女優生活20周年を迎えた米倉涼子にとって、NHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で演じたお通は異色の役どころだった。

 主人公はご存じ、天下の剣豪・宮本武蔵(市川新之助、現海老蔵)。お通は幼なじみで恋人だ。とはいえ、この武蔵、若いころから暴れん坊で「強くなりたい!」「一旗揚げたい!」といきなり関ヶ原の戦に出たり、諸国武者修行の旅に出たりと落ち着かない。そんな武蔵を慕って、お通も旅に出るがふたりはすれ違いばかり。

 好きな男を追って女ひとりで危険な旅に出るとは、かなり強気女のようだが、実は純真無垢のか弱き乙女。武蔵を鍛える沢庵和尚(渡瀬恒彦)がたまたま滝で修行しているところに遭遇すると、半裸の和尚を見て「きゃっ」と顔を隠すのだ。後に半裸どころか全裸の患者を前に平然とメスを握る米倉を見ているだけに、この「きゃっ」は思い返すと貴重だった。

 すれ違いながらも、常にお互いの存在を気にする武蔵とお通。ある時、柳生一族の屋敷に世話になっていたお通が得意の横笛を吹く。するとその音色を聞いた武蔵が、屋敷まで駆けつけて侵入しようとするのである。

 そこまでするなら、「こんにちは」って門から入れば? ふつうに再会できたんでは? と見ているこっちはイライラするのだが、会えないからこそ、ふたりはドラマになる。お通は原作者・吉川英治が創作した女性だが、このドラマの脚本は『男女7人夏物語』などで知られる鎌田敏夫だけに、武蔵・お通の場面には力が入る。

 放送は2003年。新之助も米倉も20代半ばで若い。私もロケ地取材をしたが、新之助は行く先々でキャーキャー言われるモテ男だった(今でもですが)。ふたりがその後、恋人としてメディアに追いかけられたのはよく知られている。

 面白いのは、米倉は武蔵の宿敵・佐々木小次郎役だったTOKIOの松岡昌宏とも気が合ったようで、後年、TOKIOの番組にゲスト出演した際、「早く私のだんなになれ!」と求婚(?)の手紙を書き、松岡に「おい、ヨネ!」と驚かれ、国分太一から「松岡を怒れるのはヨネ原人しかいない」と断言されたこともある。ヨネ原人…。

 武蔵と小次郎。どっちも好きになり、どちらにも好かれた女。日本の芸能史上、こんな女優は他にいない。(コラムニスト・ペリー荻野)

 ■米倉涼子(よねくら・りょうこ) 1975年8月1日生まれ、43歳。神奈川県出身。92年の第6回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。93年にモデルデビューし、雑誌『CanCam』などで活躍。99年6月の「女優宣言」後、テレビ朝日系『ドクターX』シリーズは当たり役に。2012年7月には主演ミュージカル『CHICAGO』でブロードウェーデビューも果たした。特技はクラシックバレエ。

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