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嘘によって恐怖の深みにはまる実話 「ちいさな独裁者」

★「ちいさな独裁者」〈23日(日)午後9時 スカパー!BS201スターチャンネル2〉

 23日午後9時からスカパー!スターチャンネル2で放送されるのが、映画「ちいさな独裁者」です。

 このタイトルだけを見ると、実にかわいらしい、子供が主人公の映画だと思う人もいるかもしれません。しかし、そんなお気楽な気持ちがなくなってしまうような怖い映画なのです。

 時代は第二次世界大戦末期のドイツです。脱走兵のヘロルトは、ナチス将校の軍服を偶然手に入れます。大尉になりすました彼は、ヒトラー総統からの命令と称し架空の任務をでっち上げ、出会った兵士たちを言葉巧みに服従させていきます。リーダーとなって権力に酔いしれるヘロルトは傲慢な振る舞いをエスカレートさせ、その行動は脱走兵たちが収容されている施設での大量殺戮(さつりく)へと暴走し…。

 ふとした嘘を言ってしまい、その嘘の整合性を保とうとさらなる嘘をついていき、窮地に陥ってしまうというのは、よくコメディーに見られる手法です。しかし、この映画では嘘によってどんどんと恐ろしさの深みへとはまっていくのです。

 ヘロルトを演じるマックス・フーバッヒャーという役者の演技が巧みです。自らを大尉だと名乗るヘロルトは、「軍隊手帳を見せろ」「以前どこかで見た顔だな?」などと軍の幹部から疑われるような言葉をかけられます。そこで、不安そうな、戸惑いの表情を一瞬見せるのです。見ている側はついに観念するのかと思いきや、次の瞬間に過激な発言をしていきます。

 そういうことは気の小さい人によく見られる言動です。人間というのは、大きな声の、過激な発言をする人に巻き込まれてしまうという傾向にあります。偽物の大尉に本物の大尉すら飲み込まれてしまい、平然と過激な殺しをしていく…。このような映画があったとは、知りませんでした。

 実に怖い作品です。さらに怖いのは、この物語が実話であるということでしょう。(横川メロディー)

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