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【女優20年 米倉涼子というアイコン】カッコいい悪女“清張女優”で確固たる「米倉ブランド」確立 「黒革の手帖」

★(3)

 米倉涼子を女優として大きく飛躍させたのは、松本清張原作ドラマであった。その第1弾が2004年の『黒革の手帖』だ。

 主人公の原口元子(米倉)は銀行勤務時代の顧客の秘密を記した黒革の手帖と横領した裏金をもとに銀座の高級クラブのママになる。元子にかかれば女好きの美容クリニック院長(小林稔侍)もにやけた予備校理事長(柳葉敏郎)もいいカモだ。男たちを手玉にとり、敵の女たちを蹴散らし、ついに銀座で一番のクラブ買い取りに乗り出す元子。だがそこには黒いワナが…。

 この作品の好評を受けて、米倉は脅迫まがいのやり口でジュエリーデザイナーとしてのし上がる『けものみち』、看護師として病院の隅で暗い顔して注射器を握りしめる『わるいやつら』と松本清張3部作に主演。

 さらにはコミカルな要素もいっぱいの『家政婦は見た!』やひそかに資産家の夫の抹殺を図る元祖後妻業の女のような『強き蟻』にも主演。大奥を舞台にした時代劇の『かげろう絵図』まで含めれば、芸能界屈指の“清張女優”といえる。

 なぜ、米倉は清張作品と相性がいいのか。

 それは清張が描く女が、自分の欲望を否定しないカッコいい悪女だからである。なにしろ、出てくる人間は全員腹黒。そんな中で『けものみち』で米倉演じる民子は「すでに黒く染まったものは、これ以上黒くなりようがない」と言い放つ。すごいわー。さすが寝たきりの夫を焼き殺した女だけのことはある。

 自分の腹黒さも十分承知のヒロインは、人を信用しない。一か八か、潔く、孤高の生き方を選ぶ女たちを米倉はきりりとした目力で表現。この女と目が合って足を踏まれたら、ものすごく痛そうだ。

 さらに清張ドラマの悪女には「悪に染まれば染まるほどきれいになる」という法則がある。

 『黒革の手帖』の元子もよく見れば美人だが、銀行では目立たない。それがドレスを身にまとって銀座に出た途端、光り輝くのだ。地味なサナギから艶やかな蝶になってはばたく。衣装だってメイクだって超一流。女優にとって、これほどの見せ場はない。

 強さももろさも、地味も派手も全部丸ごと要求される清張ドラマを見事演じきった米倉涼子は、タフな「米倉ブランド」を確立したといっていい。(コラムニスト・ペリー荻野)

 ■米倉涼子(よねくら・りょうこ) 1975年8月1日生まれ、43歳。神奈川県出身。92年の第6回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。93年にモデルデビューし、雑誌『CanCam』などで活躍。99年6月の「女優宣言」後、テレビ朝日系『ドクターX』シリーズは当たり役に。2012年7月には主演ミュージカル『CHICAGO』でブロードウェーデビューも果たした。特技はクラシックバレエ。今年10月から『ドクターX』新シリーズの放送が決定した。

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