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《zak女の雄叫び お題は「猛」》名物喫茶店フォーエバー猛烈に食べたい「あの味」  (1/2ページ)

 好きな町には必ずお気に入りの喫茶店がある。窓から湖を眺めて飲むコーヒーが最高!な実家近くの店、チーズケーキが抜群な京都の店、薄暗さがかえって読書に没頭できる店…。どの店もおいしいコーヒーが飲めるのは当たり前。その店ならではの味も楽しみで、久しぶりに食べると「これだよ、この味!」となり、おなかも満たされ、ぼんやり放心できる。そんな愛すべき喫茶店は、どんなに離れて暮らしていても実家に帰るような感覚でまた訪ねたくなる。

 ところが今月、携帯に「31年続いた店を閉店することにしました」と寂しい知らせを受け取った。神戸・鯉川筋沿いの喫茶店Nのマスターからだった。

 駆け出しの記者だったころ、初めての一人暮らしと仕事でいっぱいいっぱいだった私の体と心を支えてもらった。朝の取材が終わると、電話1本で仕事場にアツアツのコーヒーとサクサクの焼きサンドを届けてもらい、味わいながらしばしぼんやり。夕刊を〆切った午後、たいていの店はランチ営業を終えた中、Nでは野菜たっぷりの焼きそばやドライカレーを食べられたのがありがたかった。うまく取材が運ばなかった日はお店の看板娘のお姉さんと、お母さんとの他愛のない世間話で心がほぐれた。神戸を離れて17年、時折電話で「また行きますね」と伝えながら、店に立ち寄れないままでいたことを後悔している。

 近頃コンビニエンスストアや大手ファストフード店で安くコーヒーが飲めるからね、最近は記者さんからモーニングの注文がなかったから-マスターは悔しそうに電話口で言う。朝も昼もNのコーヒー片手にしばしぼーっとできた昔と違い、インターネットでの速報競争が激しい今は記者にも(そして世間にも)喫茶店でぼーっとする時間(とお財布)の余裕がなくなってしまったのかもしれない。

 今、喫茶店Nの野菜そばが猛烈に食べたい。8月末で閉じるというのに、「神戸から東京まで出前するよ、高くつくけど」と冗談まじりに返してくれるNの皆さんはまだまだやる気だ。

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