zakzak

記事詳細

人手不足と賃金巡るダメ報道 「企業収益圧迫」という無理解、「出口急げ」などもってのほか (1/2ページ)

 日銀短観の大企業製造業のDIが10年ぶりの高水準となったが、これに関するメディアの報道では理解に苦しむものも目についた。

 「人手不足が深刻になっている」と指摘しながら、同時に「賃金が上がっていない」ことを問題視した記事や、「賃上げの勢いは鈍い」と書いておきながら「人手不足で人件費が上がり、企業収益が圧迫される」との論評もあった。さらには日銀の金融緩和について「出口政策を急げ」と提言する記事もあった。

 経済現象には順番がある。何かの不足があると、その価格の上昇が遅れて起こる。これが市場メカニズムといわれるものだ。不足なので価格が高くなるというシグナルが出るわけで、価格が高くなることで、不足している希少資源を有効に活用するようになる。

 これは、労働市場でも同じである。そもそも雇用というのは生産の「派生需要」である。生産が拡大してくると、それに伴って雇用への需要が高まる。現状で生じている人手不足は、その背後に生産拡大、つまり経済活動の拡大があるわけだ。

 いずれにしても、労働市場で人手不足になると、その後に賃金が上がり出す。しかし、労働市場の特性から、正規社員の賃金は通常、年1回しか改訂されない。非正規であればもう少し賃金の改定は柔軟であるが、モノのように伸縮自在というわけでない。

 また、1度上げた賃金はなかなか下げられない。これを「下方硬直性」というが、賃金が人の生活を支えているのでやむを得ない。このような下方硬直性があるので、企業は賃金を上げることにも躊躇(ちゅうちょ)し、なかなか柔軟に対応できなくなる。これが人手不足になっても、すぐには賃金は上昇しない理由だ。業種によっても違うが、半年や1年くらい遅れることはザラである。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう

アクセスランキング