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麻原元死刑囚の遺骨争奪戦 “殺人教典”の存在判明、報復テロ厳戒 残り6人週明け死刑執行も

 不測の事態を引き起こす火種となるのか。一連のオウム真理教事件で、死刑が執行された麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚(63)の遺体の行方が注目されている。死刑囚の遺体は遺族に引き渡すのが通例とされるが、今も麻原元死刑囚に帰依する信者がおり、火葬後の遺骨が「信仰」の対象となり、墓地が「聖地」となる恐れがあるからだ。遺骨をめぐって、遺族を巻き込んだ“争奪戦”を懸念する声もある一方、捜査当局は信者らによる報復への警戒を強める。残る6人の死刑囚については、早ければ週明けにも刑が執行されるとの見方もある。

 「遺骨が信者にとって『崇拝』の対象となることに加え、教祖の遺骨が納められた墓は『聖地』になり得る」

 宗教学者の島田裕巳氏はこう語る。

 6日に麻原元死刑囚ら7人の死刑が執行され、一連の事件は最終局面を迎えたが、オウム真理教は複数の団体に分かれ、今も活動を続ける。後継団体の「アレフ」(信者数約1450人)や、元幹部の上祐史浩代表(55)が設立した「ひかりの輪」(同約150人)、アレフから分裂した50人ほどの集団だ。

 公安調査庁によると、主流派のアレフは近年、麻原元死刑囚への帰依を鮮明にし、立ち入り検査を妨害するなど、当局との対決姿勢を強める。アレフから分裂した集団についても公安庁は、麻原元死刑囚の影響下にあるとみている。

 主流派とたもとを分かつ形で発足したひかりの輪は、麻原元死刑囚との決別を掲げている。だが、公安当局は「表面上関係を否定しつつ、教義に絶対的に帰依するよう説いている」と見る。

 教団の分裂に加え、麻原元死刑囚の遺族の間でも、対立があると報じられたことがある。

 こうした事情から、前出の島田氏は「関係者全員が納得する遺骨の所有者や安置場所があるとはいえず、今後は麻原元死刑囚の遺骨や血縁者の動向が、オウムから細分化した組織の勢力関係を左右する可能性がある。公安当局がそうした事態を懸念していたという情報もある」と指摘する。

 カルト宗教に関する裁判を手がけた経験をもつ江川剛弁護士は一般論としたうえで、「新興宗教は教祖の死をきっかけに分裂・細分化する可能性がある」と指摘。その後に、「求心力のよりどころとして教祖の血縁である人物の取り合いや教祖の遺骨の奪い合いに発展することもある。遺骨の所有者の住宅に忍び込み、遺骨を奪うなど事件に発展する可能性も否めない」と懸念する。

 警察、公安当局が信者らによる報復や、麻原元死刑囚の神格化などの動きを警戒するのは決して絵空事ではない。近年の公安調査庁の立ち入り検査で、アレフ内部に、麻原元死刑囚が殺人を示唆的に勧めた教義「タントラ・ヴァジラヤーナ」の説法教材が存在することが判明しているのだ。

 6日の執行を受け公安調査庁はアレフのほか、ひかりの輪、アレフから分かれた新団体の計20施設を一斉に立ち入り検査。警察庁も全国の警察本部に情報収集や警戒警備の実施を指示した。

 麻原元死刑囚らの死刑執行に伴う信者らの動きは、残る6死刑囚の執行時期を左右する材料となるとの見方もある。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、6日の死刑執行について「1人の死刑執行については長くて半日くらいの時間を要すると考えても良い。その時間の制約があるので、1つの拘置所ではせいぜい3人くらいしか執行できない。1日にまとめて13人の死刑が執行されなかったのはこうした物理的な負担が大きいと思う」と話す。

 そのうえで6人の執行時期の見通しについて、若狭氏はこう指摘した。

 「死刑囚13人分について法相の了承を得ていると思う。とすれば、可能性としては、残る6人の執行を週明けに行ってもおかしくはない。逆にもっと先ということもあり得るが、平成に起きた事件なので平成の間にやるのではないか。ポイントとなるのは信者らの動向だろう。変な反応がみられれば、残りの執行を先送りするかもしれないし、大きな反応がなければ、できるだけ早い段階で残りの執行も行ってしまうかもしれない」

 【オウム真理教残る6死刑囚】

   氏 名         年齢 収容先

 (1) 林泰男(現姓・小池)  60  仙台拘置所

 (2) 広瀬健一        54  東京拘置所

 (3) 端本悟         51  東京拘置所

 (4) 豊田亨         50  東京拘置所

 (5) 岡崎一明(現姓・宮前) 57  名古屋拘置所

 (6) 横山真人        54  名古屋拘置所 

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