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麻原死刑執行で真相は闇の中 精神状態問題なし 松本サリン事件被害者の河野さん「事件の真実に迫ることができなくなって残念」

 地下鉄、松本両サリン事件や坂本弁護士一家殺害事件、VXガス襲撃事件など、犯罪史上類を見ない数々の凄惨な事件を引き起こしたオウム真理教。6日に死刑が執行された首謀者の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(63)は殺人を肯定する教義を説き、幹部たちは「人類救済」を掲げ、妨げになる者をポア(殺害)しようとした。麻原死刑囚は一審途中から沈黙し、異常な事件の真相について明かさないまま、執行となった。

 刑務官とは一切会話をせず、じっと座り続ける一方、入浴の呼び掛けには反応し、自ら立ち上がる-。東京拘置所に収容されていた麻原死刑囚の様子を知る複数の法務省関係者はこう証言し、精神状態に問題はなかったと指摘した。

 2006年9月に死刑が確定。08年半ばから弁護士、家族も面会できなくなった。

 家族らは刑事訴訟法で刑の執行停止が定められている心神喪失状態だと主張してきたが、複数の法務省関係者は「異常は見受けられなかった」と反論していた。

 関係者によると、麻原死刑囚は短髪でひげをそり、逮捕前の様子から風貌は一変。他の死刑囚から離れた独居房で、1日の大半を座った状態で過ごしていた。

 数日に1度、「風呂だ」と声が掛かると、すぐに立ち上がり、定期的に診察に訪れる医師とはコミュニケーションを取っていた。独居房のトイレは使おうとせず、常におむつをつけ、肌が荒れていたこともあった。

 近況の一端は、麻原死刑囚の四女が、自身の推定相続人から麻原死刑囚を除外するよう横浜家裁に求めた手続きでも明らかになった。拘置所が15年5月、家裁に提出した文書には「精神科医の診察の結果、体の機能は保たれており、少なくとも明らかな精神的な障害はない」と記されていた。

 東京拘置所は18年1月、「面会申し込みを伝え、手を引いても、居室から出ようとしない」と関係者に伝えていた。

 ■分散留置されたオウム死刑囚

 オウム真理教による一連の事件で今年3月14日以降、東京拘置所に収容されていた13人の確定死刑囚のうち7人が他の拘置所(支所含む)に移送された。移送について「執行の準備」との観測が広がっていた。

 支援者などによると、井上嘉浩(48)、新実智光(54)両死刑囚が大阪拘置所▽横山真人(54)、岡崎(現姓・宮前)一明(57)両死刑囚が名古屋拘置所▽林(現姓・小池)泰男死刑囚(60)が仙台拘置支所▽中川智正死刑囚(55)が広島拘置所▽早川紀代秀死刑囚(68)が福岡拘置所-に移送された。

 元教祖、麻原彰晃死刑囚ら6人は引き続き東京拘置所に収容されていた。

 移送の同時執行について「別々に執行すると、残された死刑囚の心理的負担が大きくなるから」(法務省幹部)という。

 国内で死刑を執行できる施設は、教団元幹部らが収容されている6カ所と、札幌拘置支所のみ。各拘置所に刑場は1つしかないとみられ、過去10年で1日に同一拘置所で2人以上が執行されたことはない。

 ■松本サリン事件の被害者・河野義行さんのコメント

  麻原死刑囚の死刑執行を受け、松本サリン事件の被害者の河野義行さん(68)は6日、取材に「これで、あの事件の真実に迫ることができなくなって、本当に残念です」と話した。

 ■滝本太郎弁護士のコメント

 自らもサリンで襲撃されたオウム真理教被害対策弁護団の滝本太郎弁護士は6日、自身のブログで「麻原死刑囚の死刑が執行された。立ち会えなかった、残念です。人ひとりの命が失われてしまった、悲しいです。本人には、『生まれてくれてウェルカム』と言いたい。現役信者さんには、『麻原彰晃という人はもともと存在しなかったんだよ』と伝えたい」と心情をつづった。

 ■瀧澤秀俊弁護士のコメント

 勇気を持って執行に踏み切ったと思う。坂本弁護士らの遺体発見の一報を聞いた時のことがフラッシュバックした。坂本弁護士の思いを継いで30年間活動してきた。『ついに、いよいよきた』と報告したいと思う」と語った。

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