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公共事業費10兆円を確保せよ! 政府の破綻より心配な大災害…過去最高レベルの予算措置を

 西日本の豪雨被害が深刻な状況だが、昨年も九州北部豪雨などの災害があった。防災や減災などの側面でどの程度の規模の公共事業が必要なのか。

 まず、公共事業関係費の推移を見ておこう。予算の数字には、当初予算と補正予算がある。補正予算はその時々の状況に依存するので、当初予算の数字が政権の政策運営の基本を反映しているといえる。

 公共事業関係費は1980年代前半には微減傾向だったが、その後上昇傾向となり、97年度に9・8兆円でピークだった。その後減少傾向に転じて、ほぼ年間0・3兆円の減少が2009年度の麻生太郎政権まで継続した。09年度は形式的には7・1兆円だったが、地方道路整備臨時交付金の一般会計への計上による影響を除くと6・4兆円だった。

 10年度から3年間は民主党政権だったが、減少スピードを増して、10年度5・8兆円、11年度5兆円、12年度4・6兆円となった。毎年の対前年度の減少額は0・6兆円程度と、自民党時代の2倍程度も大きな減少だった。

 民主党政権時代に、「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズで、公共事業費が削減された。実際に事業仕分けの対象になって公共工事が遅れて、結果として自然災害による被害を増やした事例も散見される。

 13年度からは第2次安倍晋三政権であるが、5・3兆円と増加に転じ、その後6兆円を継続している。

 公共事業削減の背景には、事業の無駄という考えに加え、財政危機だという認識がある。

 財務省は、財政危機を根拠として消費増税を主張してきたが、本コラムで強調してきた統合政府(一般の企業における連結ベースに対応)のバランスシート(貸借対照表)をみると、ネット債務額はほぼゼロであり、とても財政危機とはいいがたい状況だ。

 日本国債の「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」は国際金融市場で取引されている。日本政府が破綻した場合に保証してもらう「保険料」のようなものだが、現在のレートは0・2%程度で、世界でも最低レベルだ。ここから算出できる今後5年間で日本政府が破綻する確率は1%程度と、無視できる程度だ。

 ちなみに、今後30年間で南海トラフ地震が発生する確率は7割以上とされているが、それを今後5年間でみると1割程度になる。日本が破綻する確率はそれよりかなり低い。

 南海トラフで日本経済が直撃弾を食らうとかなりまずいので、その前に防災のための国債を発行してできるだけ備えることは、合理的な戦略である。

 もちろん、この考え方は今回のような数十年に一度という自然災害でも当てはまる。早急に、過去の最高レベルである当初予算ベースで10兆円程度の公共事業関係を確保すべきだ。

 今は、防災のための国債発行についても、国債の品不足とマイナス金利という絶好の環境であるので、これを逃す手はない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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