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IR法案でも期待外れの野党 画期的な「依存症対策」も出せず、業界の既得権擁護する結果に

 IR法案(正式には、特定複合観光施設区域整備法案)について野党や一部メディアは、「採決が強行された」と批判した。だが、議会のルールに従ったもので、外国語訳がしにくいマスコミ用語だ。

 IR法は、これまで何回も国会で議論されてきた。直近の経緯だけを見ても、今回のIR法の前に、IR推進法がある。その法案は、2015年4月28日に国会に提出された。そのときは成立せずに、閉会中審査となり、16年9月26日に再び国会に付託され、12月15日に成立した。

 このIR推進法は、いわゆるプログラム法であり、政府に対して、施行後1年以内を目途として実定法を講じなければならないとしている(IR推進法第5条)。

 筆者は、IR法案について、パチンコをどのように理解するかが本質的な問題だと思っている。パチンコという「実質的なギャンブル」が街中にある事実を直視すべきではないかと考える。

 厚労省の調査によれば、日本人の成人の4・8%がギャンブル依存症とされている。これは、米国1・6%、香港1・8%、韓国0・8%と比較して高いという。パチンコが「駅前」などの身近にあることが、海外より数値が高い理由の一つであろう。海外生活経験があれば、これだけ身近に事実上のギャンブルがある日本は珍しい国であることがわかるだろう。

 世界中で試みられているのは、ギャンブルを街中から隔離し管理して国民を守るというスタンスだ。ギャンブルそのものをなくすことはできないので、次善の策が必要になる。カジノはその流れだ。

 IR推進法に基づく措置で注目されたのはギャンブル依存症対策である。与党は、今年7月6日に成立した「ギャンブル等依存症対策基本法」において、パチンコ依存症もその他のギャンブルと同じで規制対象とした。

 ここで、野党は、国民をうならせるようなギャンブル依存症対策案を講ずるべきだったが、野党の提出した案は、与党と条建てもうり二つで、結果としては国民的な議論を引き起こせなかった。

 その上、与党の提出した「ギャンブル等依存症対策基本法」に対して、立憲民主党や共産党は反対している。立憲民主党は、同様な依存症対策基本法案を提出しているというが、IR法案に絶対反対で、結果としてパチンコ利権擁護と思われても仕方ないだろう。

 野党は、パチンコ課税を喚起すべきだったが、できなかった。カジノに対しては30%の納付金が課せられる。一方、パチンコは、これまでギャンブルではないとされているので、パチンコ業者に対して普通の法人税課税だけであり、しかも国税庁の発表では、不正発見割合の高い業種の一つとされる。

 こうした点から、パチンコの課税問題を野党が先んじて行うべきだったのにできなかった。パチンコ寄り議員が多いとみられてしまうような結果だった野党は期待外れだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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