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野党のご都合主義な「カジノだけ批判」 弊害説くなら…パチンコ、競輪、競馬、競艇はどうする?

 カジノ解禁を含む統合型リゾート施設(IR)整備法が、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で成立した。

 世論は批判的だ。例えば、共同通信の調査では「反対」が64・8%と、「賛成」の27・6%を大きく上回った。読売新聞の調査でも「評価しない」の62%に対し、「評価する」は28%にとどまっている。

 この結果を見れば、安倍晋三政権がカジノについて、国民に丁寧に説明する必要があるのは、明らかだ。政府は異例の全国キャラバンを展開して、制度を説明していくという。

 日本にはカジノがないのだから、「ギャンブル」と聞くだけで、アレルギー反応が起きるのも無理はない。文字と言葉だけでなく、世界の現状をビデオで見せたらどうか。

 この話は基本的に、地域の活性化と観光の目玉づくりである。私はラスベガスで遊んだ経験があるが、50ドル(約5500円)くらいで家族が一晩、十分に楽しめた。「何万ドルの大損」などというのは、別世界の話だ。普通の観光客とギャンブラーを一緒にするのはどうなのか。

 確かに、ギャンブル依存症対策は十分とはいえない。「日本人客は週3回かつ月10回まで」「資金貸し付けは一定額を預託できる人に限定」などと規制を設けているが、当初はできるだけ厳しく運用すべきだ。違反者だけでなく事業者にこそ、しっかりペナルティーを科してほしい。

 さて、そのうえで指摘したいのは、反対の野党はカジノの弊害を説くなら、パチンコや競輪、競馬、競艇はどうするのか。これまで「パチンコを追放しろ」とか「競輪をやめろ」という話は、あまり盛り上がったことがない。

 「豪雨災害よりカジノ優先か」とか、「外資を儲けさせるだけだ」といった批判もあった。そういう感情的な批判をしているから、野党に支持が集まらないのだ。

 ある民放番組では、キャスターが「カジノ法案が通るなら、パチンコ屋さんにも頑張ってもらいたい」と話したとか。政権批判の趣旨だったらしいが、これでは本末転倒だ。それこそ、ギャンブル依存症が増えてしまいかねない。「背景には、ドナルド・トランプ米大統領への配慮がある」といった学者の解説まであった。こうなると、ほとんど陰謀論に近い。

 当初は、超党派の議員連盟が議員立法として検討を進め、自民党と日本維新の会などが最初にカジノ解禁を含めたIR法案を国会に提出したのは、2013年12月である。トランプ政権ができる、はるか前だ。

 客観的な冷静さを欠いているどころか、「政権批判に使えるなら、何でもいい」という意図が透けてみえる。

 私はまず、公営ギャンブルを見直してもらいたい。競輪(所管は経産省)、競馬(農水省)、競艇(国交省)は地域活性化の効果に疑問符が付くうえ、それぞれ役所の天下り先になっている。

 IR整備法では、事業者に国と自治体への収益の30%納付が義務付けられた。野党やカジノ反対のマスコミは依存症対策を言うなら「パチンコ頑張れ」でなく、「パチンコの課税強化」と公営ギャンブル廃止を唱えるべきではないのか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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