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前川喜平氏の「面従腹背」を“弁護”する 「性善説やめなさい」主張の説得力強化

 日本の教育行政を所管する文部科学省の前川喜平前事務次官が『面従腹背』(毎日新聞出版)という著書を出したと知ったとき、何とも表現しにくい異様さを感じた。ちなみに「面従腹背」は前川氏の「座右の銘」だそうだ。

 改めて「面従腹背」の意味を調べると、「表面だけ服従し、内心で反抗していること」。そして「座右の銘」は、「常に自分のいましめとする言葉」である。日本に40年ほど住んでいるが、「座右の銘は『面従腹背』」という人に会った経験はない。

 前川氏は講演や著書で繰り返し、「面従腹背は役人にとって必須の技術」と語っており、自分がそのような官僚人生を送ったことに誇りを抱いているようだ。自分と似た考えを持つ官僚を勇気づけ、仲間を増やしたいのだろう。

 これが米国なら、前川氏は「国家反逆をあおるアジテーター」と批判されるが、天邪鬼(あまのじゃく)な私は彼を弁護してみたくなった。

 まず、「座右の銘は面従腹背」と公表した前川氏は「私を信用しては駄目だ」と宣伝したに等しい。本当にズル賢い悪人なら絶対にやらない。つまり前川氏は、不器用で正直な粗忽者である。

 また、敵に勝つためなら平気で嘘をつき、事実も捏造(ねつぞう)することは、世界的に見れば日常茶飯事である。前川氏は「嘘は絶対悪」と考えるナイーブな日本人と比べれば、広い視野を持った国際人といえる。

 「公正中立な正直者」を装いながら、嘘を平気でたれ流す一部メディアや自称ジャーナリストの方が、はるかに極悪人である。

 前川氏が文科次官時代、違法な天下りを自ら斡旋(あっせん)したことにも一定の理解を示せる。彼が文科省(文部省)に入省した1979年当時、「天下り」は特に問題視されていなかった。それどころか、霞が関の中央官庁が、日本で最も優秀な人材を集めるためには必要不可欠な仕組みと考えられていた。

 メガバンクなどに遠く及ばない安月給、自分より頭が悪く、わがままな議員や閣僚に、早朝から深夜まで振り回される過酷な労働環境。出世競争に負けると早期退職を勧奨される。平安時代から続く慣行を維持するために、「天下り」は必要だった。前川氏は事後法で奪われた貴族的特権を守ろうとしただけだろう。

 そして、前川氏は何と言っても、私の「日本人は性善説をやめなさい」という主張の説得力を強化してくれる存在だ。続出する文科官僚の不祥事を、左派メディアを中心に積極的に報じないように感じるが、倒閣活動における前川氏の利用価値のおかげではないか。

 露骨で分かりやすいから、前川氏には今後も活躍してほしい。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

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