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朝日新聞、極端に簡略な「日仏軍事協力」報道 中国への忖度か

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 西日本豪雨(平成30年7月豪雨)のために、7月11日から予定されていた、安倍晋三首相のヨーロッパ・中東訪問が、急遽(きゅうきょ)中止となった。訪欧の目的は 昨年12月に交渉が妥結した日本とEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)に署名すること。そして、フランスではパリで開催される「ジャポニスム2018」の開会式に出席し、フランスと2種類の軍事協力を約束することであった。

 このうち、EUとのEPAは、安倍首相の訪欧が中止になると、EUのドナルド・トゥスク大統領と、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長が来日して、同月17日に東京で調印された。つまり、この協定がいかに重視されているか、良く表れている。

 ドナルド・トランプ米大統領の保護主義に対抗する手段としての意味を持っているからである。同時に、安全保障など広い分野での協力を約した「戦略的パートナーシップ協定(SPA)」も調印された。

 フランスとの軍事協力には2種類あり、1つは物資の相互提供で、もう1つは、太平洋での軍事的な海洋対話を創設することである。2つとも、安倍首相の代わりに河野太郎外相が訪仏した。

 物資の相互提供は、正確には物品役務相互提供協定(ACSA)といい、河野外相が同月13日、フロランス・パルリ国防相と署名した。これにより自衛隊と仏軍との間で、食料・燃料・弾薬などの相互提供が可能になるという。

 河野外相は翌14日、ジャンイブ・ルドリアン外相と会談して、インド太平洋地域における、安全保障などの問題を話し合う、「海洋対話」を来年度に発足させることに合意した。これは中国の海洋進出が積極化する現在、太平洋にも領土や基地を有するフランスとの協力を促進するものである。

 この2つの日仏軍事協力について、朝日新聞の報道ぶりは他紙に比べて、極端に簡略であることに、注目しないわけにいかない。

 物資の相互協定は、7月14日の夕刊2面の最下段に横組み3行で出しているだけであり、海洋対話は、同月15日の7面・国際面の「地球24時」欄、すなわち雑報欄の最後に、ベタ記事として小さく掲載しているに過ぎない。

 そして、同月14日のフランス革命記念日の軍事パレードには、日本の陸上自衛隊の隊員が、日の丸と旭日旗を掲げて行進した。この行進は本来、安倍首相が、エマニュエル・マクロン大統領と一緒に観覧する予定だった。これにも河野外相が代理で参列した。

 私は翌15日の新聞各紙を見たが、産経新聞と東京新聞は、自衛隊の行進を写真入りで報じ、日経新聞と毎日新聞も記事で触れていた。ただ、朝日新聞は読売新聞とともに、記事が見当たらなかった。

 朝日新聞の報道は、なぜこうなるのか。伝統に思える中国への忖度(そんたく)が、いまだに強力に働いているからではないかと、想像してしまう。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、夕刊紙や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

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