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「オール沖縄」実現が勝敗の鍵 日本の針路示す沖縄知事選

 翁長雄志氏の死去に伴う沖縄県知事選(9月13日告示、同30日投開票)は、保守系の前・同県宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏と自由党幹事長の玉城デニー衆院議員(沖縄3区)の戦いになる。

 まず、翁長氏には心からご冥福をお祈りしたい。翁長氏は沖縄の基地をめぐって、長い間、政府と戦ってきた。

 私は同氏の政治的立場と意見を異にするが、翁長氏は極端な左派から保守派の一部まで取り込んで反対派をまとめてきた。これまで、さぞ大変なご苦労があったことだろう、と推察する。

 よく知られているように、翁長氏は2014年まで自民党に所属し、那覇市議や沖縄県議、さらには自民党県連幹事長も務めてきた。県議時代には、県議会で「私たちがなにゆえに県内移設を早急にやらなきゃならぬかという見地に立ったのは、県全体の立場に立っての危険性の軽減である」と語っている。

 かつては、米軍普天間飛行場の辺野古移転を推進する旗振り役だったのだ。それが一転して、反対に立場を変えた理由はともかく、翁長氏がもともと基地移転推進の立場だったことは、保守派を含めて幅広い勢力を結集するのに大きな力になったのは間違いない。

 それが「オール沖縄」という言葉に示されている。左派だけが基地移転に反対しているのではなく「保守勢力にも基地反対派がいるのだ」という証左になった。だからこそ、翁長氏は「反対派の象徴」になった。

 私は今回の県知事選でも、そんな「オール沖縄」が掛け声だけでなく、中身でも本当に実現するかどうかが勝敗の鍵を握る、とみる。

 反対派の候補である玉城デニー氏は民主党の衆院議員として政治経歴をスタートさせた。玉城氏を候補に選んだ調整会議は共産党や社民党、自由党、労組などが主体である。そんな玉城氏に翁長氏のように、保守票の一部が流れるかどうか。

 一方の賛成派は別の候補予定者もいたが、結局出馬を断念して、佐喜真氏に一本化した。そうであれば、なおさらだ。

 米軍基地が集中している沖縄は、他県にはない大きな負担を背負っている。背景には、米国の統治下にあった大戦以来の経緯だけでなく、日本を脅かす中国に対抗する「戦略的要所」という地理的事情もある。

 地図を逆さまにして眺めれば、すぐ分かるが、中国にとっては太平洋に漕ぎ出すうえで沖縄が急所になっているのだ。沖縄の政治的安定は、そのまま日本の平和と安定に直結する。

 日本は全体として沖縄の負担のうえに平和と繁栄を享受している。だからこそ、住宅密集地に位置して「世界一危険」と言われる普天間飛行場は、沖縄県民の理解を得て一刻も早く移転すべきである。同時に、特別な経済支援も必要だ。

 今回の沖縄知事選は奇しくも自民党総裁選(9月7日告示、同20日投開票)と日程が一部、重なる。知事選の行方は、そのまま日本の針路をも示す形になるだろう。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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