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野党、左派マスコミが「石破応援団」になるワケ 「改憲」唱えるだけで何もしない…自分たちと同じと見抜いた!?

 自民党総裁選(7日告示、20日投開票)は、安倍晋三首相(総裁)と、石破茂元幹事長の一騎打ちになった。大方の予想では、安倍首相の圧勝は揺るがず、もはや「石破氏がどこまで健闘するか」が焦点になっている。

 興味深いのは、野党や野党支持者、左派マスコミがそろって石破氏を支持している点だ。「憲法9条を守れ」と叫ぶ護憲派からみると、総裁選で“事実上の改憲先送り”を唱えている石破氏は「心強い味方」に見えるらしい。

 まさに、「敵の敵は味方」である。

 記者会見で堂々と石破氏応援の弁を述べたのは、国民民主党の共同代表(当時)たちだ。大塚耕平氏は7月26日の会見で、石破氏について「安倍政権が民主主義を劣化させている点を議論してほしい。石破氏には頑張っていただきたい」と語った。

 同じく、玉木雄一郎氏も「石破先生が活発な議論をしてもらえば、政界が活性化するきっかけになる」と期待を述べた(7月24日会見)。

 衆院会派「無所属の会」の大串博志幹事長は「安倍総理がこれまでやってきた政策の方向性をきっぱり否定する…。その意味で自民党総裁選に期待しています」と自分のブログに書き込んだ(8月26日)。名指しこそ避けているが、石破氏へのエールである。

 石破氏は野党議員だけでなく、野党の支持者にも評判がいい。

 例えば、朝日新聞の世論調査(8月4、5日)だと「自民党総裁にふさわしい人物」として、立憲民主党支持者では石破氏が41%に達し、安倍首相の6%を圧倒した。同じく、共産党支持者でも石破氏は40%、安倍首相は3%にとどまった。

 自民党支持者では、石破氏の20%に対して、安倍首相は59%に達しているのと対照的だ。

 新聞はどうかといえば、朝日新聞は「自民党総裁選 首相、論戦から逃げるな」と題した8月27日付社説で、安倍首相の逃げ腰を批判したうえで、「石破氏にはひるまず首相に論戦を挑んでほしい」と激を飛ばした。

 野党や野党支持者、左派マスコミは石破応援歌で合唱状態である。

 それはなぜか。

 安倍首相が秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出する構えを示している一方、石破氏は憲法改正を先送りする姿勢だからにほかならない。

 では、石破氏は護憲派なのか。表向きはまったく違う。戦力不保持と交戦権の否定を定めた9条2項を削除し、陸海空自衛隊の明記を求めている。かつては国防軍創設を唱えた。9条1項、2項を維持して自衛隊明記だけを目指す安倍首相よりも、もっと強烈な改憲論者と言っていい。

 一方で、石破氏は「(改憲は)共産党も含めて、多くの党の賛同を得られるものから」(8月16日、BS日テレ番組)とも語っている。

 野党はしっかり本質を見ている。「石破氏は改憲を唱えながら、実は何もしないから、自分たちと同じだ。それなら、安倍首相と代わってもらった方がいい」と判断しているのだ。もしかしたら、石破氏自身もそんな野党の応援を心強く思っているかもしれない。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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