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「正恩氏のポチ」 国家戦略がない文政権が韓国の“孤立化”を招いた

 韓国の元徴用工4人が、新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取って損害賠償を求めた訴訟の上告審で、韓国最高裁は10月30日、元徴用工側の主張を認め、同社に賠償の支払いを命じた。

 日本と韓国は1965年、国交を正常化した基本条約とともに請求権協定を結んだ。日本が韓国に5億ドルの経済支援をする代わり、韓国は日本に対する請求権を放棄し、問題を「完全かつ最終的に」解決している。

 にもかかわらず、問題を蒸し返した。慰安婦問題と同じである。一体、この国は法治国家なのか。国民感情で最高裁を含めた司法が左右されている。デタラメもいいところではないか。

 日本政府はもちろん「解決済み」との立場を崩さない。今後は韓国側の出方にかかっているが、いずれにせよ、再び「反日」感情が高まるのは確実だろう。他の日本企業も困惑する。日韓関係が一段と険しくなるのは避けられない。

 韓国は日本との関係を「どうしたい」と思っているのだろうか。

 東アジア全体を眺めれば、情勢は大きく動いている。米国は中国との「新しい冷戦」に突入した。中国は「対立の長期化は不可避」と見て、先の日中首脳会談で安倍晋三首相を歓待してみせた。日米の連携を分断するためだ。

 北朝鮮は2回目の米朝首脳会談を求めている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は注意深く、ドナルド・トランプ米大統領を批判していない。非核化の時間稼ぎもさることながら、米中冷戦の長期化をにらんで、「トランプ氏との関係をつないでおこう」という思惑もあるに違いない。生き残りをかけた保険である。

 そんな中で、韓国だけが孤立化を深めている。

 まず、米国に信頼されていない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮にすり寄るあまり、独自制裁の解除まで口にして、トランプ政権を激怒させた。北朝鮮は非核化の工程表はおろか、核施設と核兵器のリストも提示していないのに、先に報酬を与えようとしたからだ。

 頼りの中国は、米国に追い込まれている。習近平国家主席が安倍首相を異例に厚遇したのが、なによりの証拠である。

 だからといって、韓国は落ち目の中国を袖にできない。最大の輸出相手国である中国を敵に回せば、とっくに危機的状況にある経済が崩壊してしまうからだ。

 そこへ今回の徴用工判決である。これで、日本も敵に回してしまった。まさに韓国は「八方塞がり状態」なのだ。

 なぜ、こんな事態になったかといえば、結局のところ、文政権には自前の国家戦略がないからだ。韓国はその場しのぎで、ひたすら大国にすり寄ってきた。しかも、相手は日米中だけではない。北朝鮮もそうだ。文政権は「正恩氏のポチ」と言ってもいい。

 そんな韓国に比べれば、米国の軍事攻撃を食い止めただけでなく、核兵器を手放さない北朝鮮はある意味、大したものだ。右往左往した揚げ句、だれからも信頼されなくなった文政権の哀れさが際立っている。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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