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「市民」を看板にした「市民不在」の野党共闘

★(4)

 野党共闘の行方が不透明である。

 2年前の参院選では、全国32の1人区すべてで野党共闘が実現し、11の選挙区で野党が勝利した。だが、昨年の衆院選では、民進党が事実上分裂し、希望の党、立憲民主党が結成された。その結果、「自民党・公明党」「希望の党・日本維新の会」「共産党・立憲民主党・社民党」という三つどもえの選挙戦となった。参院選での「維新の会を除く全野党共闘」という構図が崩れたのだ。

 野党は、来年の参院選をどう戦おうとしているのか。共産党は「本気の共闘」をやろうということで、(1)共通公約を作る(2)相互推薦・支援を行うこと-などを提起している。

 では、立憲民主党はどうか。

 枝野幸男代表は、自衛隊や安全保障政策で「共産党とは大きく違う」と明言し、「野党の連携はやります。連携であれば野党の政策のすり合わせはいりません」と語っている。共産党がいう「本気の共闘」には、ほど遠いものだ。枝野氏が、「野党共闘」「選挙協力」という言葉を使わずに、あえて「連携」と言っていることには深謀遠慮がある。

 それは、枝野氏が「政党間の駆け引きの産物ではなく、市民の要望によって候補者が一本化する。野党候補が勝つためには、それしかありえない」(週プレNEWS、10月26日)と語っていることに示されている。

 市民の声に応えた候補者一本化という体裁をとれば、共産党との隔たりを棚上げにできるからだろう。相互推薦にまで踏み込めば、こうした論法は通用しなくなる。

 では、野党協力は実現しないのかと言えば、そうでもないところに、今の野党が置かれた窮状がある。

 立憲民主党にしろ、国民民主党にしろ、選挙で躍進するためには、さまざまな抵抗があったとしても共産党の選挙協力は欲しいはずだ。

 では、共産党はどうか。月刊誌「月刊日本」(12月号)での亀井静香元建設相との対談で、志位和夫委員長は「過去二回の選挙は共産党が一方的に候補者を降ろしたんです。2016年の参院選は野党共闘の最初の試みを成功させるため、去年の衆院選は共闘を壊す逆流への緊急対応のためでした。次は一方的に降ろすことはしない」と語っている。

 両党とも「市民」という言葉を多用してきた。だが、共闘を否定し、「連携だけ」という立憲民主党の態度も、「自党の候補者は降ろさない」という共産党の態度も、市民の声を聞いた上での方針ではあるまい。

 要するに「党利党略」「市民不在」の主張なのである。

 だが、選挙のために背に腹は変えられない両党は、最後には「市民」なるものを登場させて、共闘の道を選択するのではないか。

 ■筆坂秀世(ふでさか・ひでよ) 1948年、兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行に入行。18歳で日本共産党に入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家となる。議員秘書を経て、1995年に参院議員に初当選。共産党のナンバー4の政策委員長を務める。2003年に議員辞職し、05年に離党。評論・言論活動に入る。著書に『日本共産党と中韓』(ワニブックスPLUS新書)、『野党という病い』(イースト新書)など。

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