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“きりもみ状態”韓国・文政権は突き放せ! 甘い顔は「百害あって一利なし」

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が迷走している。いわゆる「元徴用工」に対する韓国最高裁の相次ぐ賠償判決について、文氏は「歴史問題と未来志向の協力を切り離す」と言ってのけた。「おいおい、どうした。大丈夫か」と言いたくなる。

 言葉は一見、もっともらしいが、解決済みの歴史問題をほじくり返しているのは、どちらなのか。未来志向の協力を望むなら、まず韓国自身が「歴史に刻まれた最終決着」に真摯(しんし)に向き合うべきだ。それができないのに、上っ面のキレイゴトを言われてもシラケるばかりだ。

 文氏はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたG20(主要20カ国・地域)首脳会議から、次の訪問先であるニュージーランドに向かう途中、空軍1号機(大統領専用機)の機中で、記者団にこう述べた。

 「過去の歴史問題は別途、懸命に処理しながら、未来志向の協力をしていかなければならない」

 歴史問題と未来の協力を切り離す考え方を「ツートラック」と呼ぶそうだ。

 何と言おうと勝手だが、ついでに「その点は日本政府も共感しているとみている」と語った部分は余計だ。日本が了解しているのは「徴用工問題も慰安婦問題も、日本は歴史にしっかり向き合い、韓国も十分に納得したうえで解決した」という歴史的な事実である。

 徴用工問題では、日韓の国交を正常化した1965年の基本条約締結と同時に結んだ日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決された」と記された。慰安婦問題も2015年、両国外相が共同記者会見を開き、「最終的かつ不可逆的に解決される」ことを確認している。

 それを政権が交代したら、あたかも「全部なかった話」のように扱っているのは、文政権ではないか。

 さすがに協定や外相発言は消去できないから「なかった」とは言っていない。だが、徴用工問題では最高裁判決を支持し、慰安婦問題では元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」を解散した。刻まれた歴史の刻印をなんとか消し去ろうと懸命になっているのだ。

 いまや「歴史問題」の意味は、日韓で逆転してしまった。

 日本は65年以来の歴史をしっかり胸に刻んで、合意事項を誠実に履行してきた。ところが、韓国は合意そのものを否定し、亡きものにしようとしている。日韓の歴史問題とは、日本の振る舞いではなく「韓国の健忘症」を指す、と理解すべきである。

 徴用工問題は少なくとも、まだ11件が係争中で、今後も同様の賠償判決が続きそうだ。原告らが賠償に応じない日本企業の資産差し押さえに動けば、問題は文政権の手を離れて、政府のコントロールが及ばなくなる可能性がある。日本企業がリスクのある韓国での事業見直しに動くのも避けられない。

 文氏はそんな最悪の事態を予想しながら、打開策を打ち出せずにいる。国民の反日感情と最高裁判決、対日関係維持の狭間に立って、ただ頭を抱えているだけだ。先の「日本政府も共感」発言も、実は「日本に助けを求めた」のが真意ではないか。

 日本を批判したかと思えば、未来志向などと言って、すり寄ってくる。私には、大統領が問題解決の責任感も当事者能力も失って「きりもみ状態」に陥っているように見える。

 日本は「突き放す」のが正解である。甘い顔は「百害あって一利なし」だ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

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