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訪韓失敗に見る「日韓議連」の正体 徴用工問題で韓国側に寄り添う!?

 韓国を訪問した超党派の日韓議員連盟(会長・額賀福志郎元財務相)の有志メンバーが14日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談し、いわゆる「徴用工」問題などについて意見交換した。韓国の相次ぐ「約束破り」を正せたのかといえば、むしろ日本の宥和的姿勢をさらけ出した格好だ。

 そもそも、日韓議員連盟とは、どういう団体なのか。

 米ソ冷戦真っただ中の1972年、共産主義を信奉する東側陣営に対抗するために、西側陣営の結束を示す組織として、自民党や旧民社党議員を中心にして発足した。

 ところが、旧民主党や共産党など野党議員も加わって「日韓友好」を掲げたあたりから、様子が変わってきた。

 今回の訪韓では、その共産党が“大活躍”した。志位和夫委員長自ら参加し、文大統領との会談で、こう発言したのだ。

 「日韓請求権協定によって両国間の請求権の問題が解決されたとしても、被害者個人の請求権を消滅させないことは日本政府も公式に表明している。両国政府はこの点で一致している。被害者の名誉と尊厳の回復に向けた前向きの解決が得られるよう、冷静な話し合いが大切だ」

 これに、文大統領は「個人の請求権が消滅していないのは重要だ。この立場に立てば、円満な解決が図られるのではないか」と応じた(=しんぶん赤旗サイトから)。

 額賀会長は「(対応策は)韓国側が判断することだ。個人請求権は消滅していないと日本政府も認定しているが、外交保護権は放棄している」と述べたという。

 これだけ見ると、志位氏も額賀氏も韓国側に寄り添ったかのように見える。一体、どういうことか。日本は「請求権問題は完全かつ最終的に解決された」と言ってきたのではなかったか。

 ここは注釈が必要だろう。

 実は、両氏が言うように、日本政府は従来から「個人請求権は消滅していない」という立場に立っている。91年8月には外務省条約局長の国会答弁があり、河野太郎外相も11月14日、衆院外務委員会でそう答弁した。

 そうだとすれば、何が問題なのか。まず、日韓両国は外交保護権を放棄した。つまり、個人に請求権が残ったとしても、国がそれを保護して相手国に請求する権利は放棄した、という話である。

 加えて、日本は65年、「請求権解決と経済協力協定」の締結を受けて、韓国に総額5億ドルを支払った。そうであれば、元徴用工が未払い賃金を請求するなら、5億ドルを受け取った韓国政府が支払うべきなのだ。韓国政府も2009年、ソウルの行政裁判所にそうした判断を示している。

 志位氏や額賀氏はそこを指摘しないから、話が中途半端になる。とりわけ「日韓がともに努力していくことが大切」と強調した志位氏は、あたかも「日本がさらにカネを出せ」と言っているように響く。それはない。

 必要なのは、あくまで韓国側の努力である。議員連盟は政府ではないのだから、なおさら問題の本質に鋭く斬り込むべきだった。友好の笑顔と握手だけなら、いま出かける必要はない。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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