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「米中新冷戦」は絶好のチャンス 北方領土・拉致問題に急展開、7月衆参ダブル選挙で与党圧勝も

 2019年の永田町は波乱含みの展開である。最大の焦点はロシアとの北方領土交渉だ。

 安倍晋三首相は1月に訪露した後、6月に大阪で開かれるG20(主要20カ国・地域)首脳会議で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と再会談し、平和条約の締結に大筋合意したい考えだ。そうなれば、歯舞群島と色丹島の返還にメドが立つ。

 その成果を引っさげて、安倍首相は衆院を解散し、7月の参院選を衆院選とのダブル選挙にする可能性が出ている。

 それだけではない。

 北朝鮮による日本人拉致問題も米朝非核化交渉の裏側で、解決に向けて明るい光が見えてくる可能性がある。北方領土と拉致問題で大きな前進があれば、政権与党の圧勝は確実だ。そうなれば、憲法改正も具体的に動き出すに違いない。

 まさに、歴史的な大激動である。なぜ、さまざまな問題が一挙に動き出すのか。最大の理由は「米中新冷戦」にある。

 これは単なる貿易戦争ではない。ハイテク覇権や安全保障が絡んだ米中のガチンコ対決だ。中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の事件は、そんな対決の本質を如実に示している。

 米中対決は、ロシアや北朝鮮の対米姿勢にも変化をもたらす。

 北方領土返還への障壁は「返還された島に米軍基地ができるのかどうか」だった。日米安保条約によって、米国は日本のどこにでも基地の設置を要求でき、日本は合理的理由なくして断れない関係にある。

 だが、米国にとって最大の脅威が中国であるなら、ロシアへの刺激は避けて基地を置かない可能性が出てきた。ロシアは日本と平和条約を結べば、本格的な経済協力も期待できる。肥大化する中国を牽制(けんせい)する起爆剤を手に入れられるのだ。

 北朝鮮にも同じメカニズムが働く。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、いつまでも中国を頼って「子分」の身に甘んじるのか。それとも、非核化を受け入れて米国や日本との関係を改善し、経済発展の手がかりを得るか、という岐路に立っている。

 もしも非核化を決断するなら、見返りの経済支援(=カネ)を手にするためには、日本人拉致問題を解決しなくてはならない。カネの出し手は日本になるからだ。

 一言で言えば、米国と中国の冷戦が過熱すればするほど、ロシアと北朝鮮は日米に接近する関係にある。露朝両国が、旗色の悪い中国に肩入れするメリットは少ない。

 かつて米ソ冷戦の真っ最中に、中国がリチャード・ニクソン米大統領の電撃訪中を受け入れ、米中国交樹立につなげた前例もある。当時、日本は「青天の霹靂(へきれき)」と驚くばかりだった。同じ失敗を繰り返してはならない。

 日本は長年の懸案を片付ける「絶好のチャンス」を迎えている。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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