zakzak

記事詳細

統計不正問題、実質賃金の増減率ばかり強調…木を見て森を見ぬ野党とメディア 今後の不正防止こそ最善策

 一連の統計不正問題について、一部野党とメディアは、2018年1~11月の実質賃金の平均増減率がマイナスになると指摘し、「アベノミクス偽装」と批判している。

 本コラムで繰り返して書いているが、マクロ経済政策を評価するには、まずは雇用、次に所得で行うのが基本である。要するに、まず仕事があって、その上で衣食が足りていれば、満点である。

 これを具体的にみるには、雇用は就業者数、失業率など、所得は国内総生産(GDP)、雇用者所得などである。

 このように評価基準をハッキリさせた上で、筆者がアベノミクスを評価したところ、雇用についてはまずまずであるが、所得の観点からまだ不満があるので、70~80点という評価を下している。

 今回の統計不正により、GDPなどを算出する際の基礎データである毎月勤労統計の数字が変更になった。そのため、雇用者所得も変更された。17年の名目総雇用者所得は前年比1・6%増、実質総雇用者所得は1・2%増となった。

 18年1~11月の名目総雇用者所得は前年比3・1%増、実質総雇用者所得は2・3%増だった。同時期の総雇用者所得についてみると、名目、実質ともに前年より増加している。

 総雇用者所得は、概念として「人数×平均賃金」である。雇用の増加により、人数が増加しているのは間違いない。問題は平均賃金である。名目平均賃金が増加しているのは間違いないが、実質平均賃金については顕著な増加ではない可能性がある。一部野党とメディアは、この点だけを突いている。まさに、木を見て森を見ずである。

 そもそも、マクロ経済政策で一番肝心の雇用では、旧民主党政権時代は最悪の状況だった。雇用が満たされると、次に雇用者所得が良くなる。その次に名目平均賃金、最後の仕上げは実質平均賃金が上がる。

 一部野党やメディアは、雇用、雇用者所得、名目平均賃金の改善を無視して、最後のところの実質平均賃金の上昇が顕著でなかったという点だけをあげつらっている。

 たしかに、本コラムで何回も強調しているように、統計不正は許されない行為である。統計データは国家の信頼の根幹であると思っている筆者としては、関与した職員は統計法違反で告発されてもいいと思っている。

 その一方で、統計部門の人員・予算不足はひどいので、それを改善し、今の省庁縦割りの統計部署から省庁横断的な「統計庁」を作り、博士号持ちの専門職員を確保しなければいけない。実際に、米国では統計専門家はビジネスランキングでトップ3に入る高給取りである。そうでもしないと、質のいい人材は確保できない。

 どうも一部野党やメディアは、統計不正問題を筋違いの方向に持っていきたいようだ。今後の不正防止こそが最善の対策であり、そのために何をすべきなのか、一部野党やメディアはしっかり考えてもらいたい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

関連ニュース

アクセスランキング