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【有本香の以毒制毒】北朝鮮から自力で拉致被害者を奪還したレバノンと日本の違い… マスコミは独裁者を「アイドル」扱い、左派政治家は被害者家族へひどい対応 (1/2ページ)

 ドナルド・トランプ米大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による2回目の首脳会談は2月27、28日、ベトナムの首都ハノイで行われた。日本としては、安全保障上の脅威である北朝鮮の「核・ミサイル」の廃棄と、「拉致問題の解決」に向けた協議の進展に注目しているが、自力で解決できない「無力」さも残る。約40年前、北朝鮮に拉致された自国女性4人を取り戻したレバノンとの違いとは。わが国の左派政治家は何をしてきたのか。ジャーナリストの有本香氏が迫った。

 ベトナム・ハノイで、2回目の米朝首脳会談が行われた。昨年シンガポールでの米朝首脳初顔合わせの際には、筆者も現地を取材したが、今回はハノイへ飛ぶことを止め、代わりに永田町を取材することにした。

 例によって、日本のマスメディアは、実の兄や叔父や多くの側近を殺し、日本にミサイルを撃ち続けていた独裁者の動向を、アイドルの「追っかけ」よろしく伝えている。

 その合間に、トランプ大統領が「妥協するのではないか」という懸念ばかりを連呼し、日本にとって最重要な「拉致問題」については添え物程度にしか伝えない。これではテレビを見る人が減るのも無理はない。

 今回も安倍晋三政権は前回同様、トランプ氏から、金正恩委員長に、「日本の協力を得るには拉致問題解決が必須だ」と伝えてもらう根回しに注力した。そのため、拉致が俎上にあがったことは間違いないが、日本側が望む成果に結びつくかは全く不明だ。

 この厳しい現状を、メディアは安倍政権の「力足らず」のように伝えるが、それは正確ではない。この現状はまさに日本人全体の「無力」のせい、その一言に尽きる。われわれの無力を痛感させられる過去の事例を1つ挙げよう。

 時は1978年、横田めぐみさん(54)=拉致当時(13)=が新潟で拉致された翌年のこと、舞台は中東、レバノンである。この年、ベイルートから、4人の若きレバノン女性が北朝鮮の工作員によって平壌(ピョンヤン)へ連れ去られた。

 実は、この78年は世界各地で北朝鮮の工作員による外国人拉致が頻発した年である。日本でも、政府認定の拉致被害者17人のうち10人の事件が起き、韓国でも有名女優や映画監督、高校生らが拉致され、中には後にめぐみさんの「夫」となった金英男(キム・ヨンナム)氏もいたとされる。

 ほかに、シンガポールでシンガポール人とマレーシア人、イタリアでルーマニア人、マカオで中国人やタイ人ら、若い女性ばかりが拉致された。

 うちレバノン女性4人は翌79年の8月と11月にレバノンへ帰国している。詳しい経緯は省くが、とにかくレバノンは、北朝鮮から拉致被害者を自力で取り戻したのだ。

 成功のポイントは3つあったといわれる。

 第1は、家族が「娘を返せ」と強く求めたことだが、この点は日本も同じだ。

 第2は、レバノン政府が「国民救出のためには、どんな手段もいとわない」と強い姿勢で北朝鮮に迫ったことにある。

 そして、特筆すべきは第3だが、何と、パレスチナ解放機構(PLO)傘下にあったレバノン国内の左派組織が、友好関係にあった北朝鮮に対し、「被害者を返せ」と強く迫ったことが奏功したというのである。

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