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「反日」国家に囲まれる中…日本を守る“要石” 沖縄県民投票の結果『63対37』を読み解く

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐる県民投票が2月24日、投開票され、名護市辺野古への移設に「反対」が43万票と有効投票の72%を超えた。

 この結果をどうみるか。

 移設反対派は「県民の意思が示された」と声高に主張している。だが、そもそも国の安全保障問題は県民投票になじまない。政府は結果を尊重しつつ、移設の必要性を粘り強く、丁寧に国民に説明していくべきだ。

 結果は大方の予想通りだった。反対派は懸命に投票キャンペーンを展開したが、政権与党の自民、公明両党は自主投票で臨んだ。そうであれば、投票率が52%強にとどまり、反対票が多くなったのも当然だろう。

 沖縄県の玉城デニー知事はこの結果を、安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領に通知する。だが、投票結果に法的拘束力はない。政府は計画を予定通り進める構えだ。

 県民はそんな事情を分かっているからこそ、棄権が多くなったのではないか。

 沖縄の基地問題は日本の安全保障に直結している。日本を取り巻く環境は中国、北朝鮮に加えて、韓国も事実上「敵性国家」に変質し、大激動の最中にある。

 そんな中で、日本がどのようにして「万が一の事態」に備えるのか。いざ有事となれば、沖縄だけでなく日本全体の平和と安全、繁栄が脅かされる。沖縄県・尖閣諸島の問題一つとっても、日本だけでは対処が難しいからこそ、わが国は米国と安全保障条約を結んで、守りを固めている。

 沖縄の米軍基地は日本防衛の最前線に位置している。そうであればこそ、米軍基地は「県民の意思」に委ねる問題ではなく、日本の国と国民全体が考え、選択する問題であるのは自明だ。

 そんな理解は、実は沖縄の人々にも共有されつつあるのではないか。

 というのは、反対を表明した43万人余は投票有資格者全体でみれば、37%強にすぎない。残りの63%弱は「棄権」と「賛成」「どちらでもない」だったのだ。むしろ、私はそちらの数字に注目する。

 つまり、沖縄県民の多くは「国が決めた話に、県民が反対しても仕方がない」と割り切っていた可能性がある。もしも反対だったなら、県民投票を絶好の機会とみて投票したに違いないからだ。

 ただ、だからといって、政府は「着々と工事を進めるだけでいい」という話ではない。沖縄の負担を考えれば、これからも一層、「負担軽減のために何ができるか」に知恵を絞る必要がある。とりわけ、与党政治家は沖縄に「温かな心」を配ってほしい。冷たさを感じさせるような言動は論外である。

 折から、米中貿易戦争と朝鮮半島情勢は新たな展開を迎えている。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件以来、日本敵視の姿勢をはっきりさせてきた。

 米国のトランプ政権が対北融和に傾くなか、「核付き南北統一」を夢見て、反日気分を高揚させているに違いない。日本を守る要石(かなめいし)として、沖縄の重要性はますます高まっている。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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