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震災から8年 “看板”変えるも“遺伝子”変わらぬ野党… 揚げ足取り、内輪もめばかり

 東日本大震災から8年を迎えた。被災者の方々には、心からお見舞いを申し上げます。当時は民主党政権だった。思い出すのは、福島第1原発事故をめぐる情報操作のひどさだ。

 一例を挙げれば、原発は事故の早い段階で冷却できなくなって、「炉心溶融(メルトダウン)」していた。にもかかわらず、菅直人政権と東京電力は「炉心損傷」というあいまいな言葉に言い換えて、国民に説明し続けた。事故を軽く見せようとしたためだ。

 当時の原子力安全・保安院(現・原子力規制委員会)の審議官は、地震発生翌日の記者会見で「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と語った。すると、菅政権は「国民に不安を与えた」という理由で審議官を更迭してしまった。

 事実が正確に伝わっていれば、住民はもっと適切に行動できた可能性がある。

 官房長官だった枝野幸男氏(現・立憲民主党代表)が繰り返した「直ちに人体や健康に影響はない」というセリフも有名になった。周辺の牛乳や野菜からは放射性ヨウ素が検出されていたのに、そんな話を聞かされても、国民は戸惑うだけだ。これも政府への信頼を落とした。

 放射性物質の拡散度合いを示す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の予測結果は政府内で共有されていたのに、国民には伏せられた。米国は航空機で空から観測し、原発から北西部に放射性物質が広がっている図を公開した。私はこの図をネットで入手し、テレビで紹介した。

 要するに、民主党政権は正確な情報提供どころか、肝心な情報を隠蔽し操作していたのだ。それを敏感に感じ取った国民は政府を信用しなくなり、自分で外国の情報を集めるようになった。まったく情けない事態だった。

 そんな政権を作った民主党も、いまはない。その後にできた民進党もなくなって、いま立憲民主党と国民民主党などに姿を変えている。だが、名前が変わっても、遺伝子はそのままではないか。政権を担う力量と信頼性には、大きな疑問符が付いたままだ。

 政権を失って以来、旧民主党議員たちがエネルギーを費やしてきたのは、もっぱら「内輪もめ」と「揚げ足取り」である。

 安倍晋三政権の揚げ足取りがうまくいかなくなると内輪もめし、内輪もめが一段落すれば、また揚げ足取りに精を出す。これで国民の支持が高まるわけもない。

 なぜ、野党はダメなのか。

 根本の理由は、現実を直視せず、頭で考えた理想を追い求めているからだ。それでも、政策がインセンティブ(動機付け)重視の標準的経済学に基づいているなら、まだ救いがあるが、それもない。多くの問題は法律家的思考で、単純に正邪を色分けしてしまう。「成長できなくても格差を是正すればいい」とも考えている。

 以上の傾向は、どの野党も大同小異だ。それでも団結できないのは、だれもが「オレが正しい」と思い込んでいるからだ。柔軟に対処しようとすると「オマエは軟弱だ」と批判される。それなら分かれたほうがマシと考える。だから、内輪もめが絶えない。

 そんな野党であり続ける限り、政権奪取は夢のまた夢ではないか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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