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統一地方選“改革”を選んだ有権者たち

 統一地方選前半戦が7日、投開票された。焦点の大阪府知事と大阪市長を決める「ダブル選」は、大阪維新の会がいずれも勝利した。

 全国を見渡すと、北海道では野党統一候補が惨敗した一方、保守分裂選挙になった福岡と島根では、自民党の大物議員が推した候補が敗れた。

 こうした結果をどうみるか。

 私は「有権者が着実な改革を望む一方、野党勢力の野合に厳しい」と評価する。7月の参院選も、この流れは続くだろう。安倍晋三政権には追い風である。

 大阪では府知事と市長を辞職したうえ、入れ替わって出馬した松井一郎氏と吉村洋文氏が、それぞれ市長と府知事に当選した。対立候補は自民党と公明党に加えて、立憲民主党、国民民主党、共産党も支援体制を敷いたが、届かなかった。

 私は3月23日付本欄で大阪ダブル選について「単なる地方選挙ではない。憲法改正をはじめ、日本の改革を賭けた戦いになる」と書いた。序盤戦で、松井氏は必ずしも優勢と伝えられなかったが、有権者は維新の改革実績や大阪万博の誘致成功を正しく評価した形である。

 とはいえ、大阪市議選で維新は過半数を握れなかったので、都構想実現にはハードルが残っている。今回の勝利におごることなく、遠回りのように見えても、引き続き有権者に改革の意義を丁寧に説明しなければならない。

 私は毎週のように大阪を訪れているが、ここ数年、有権者が大胆かつ柔軟に物事を考えるようになった変化を肌で感じる。タクシー運転手も「大阪をこう変えないと万博は難しい」などとズケズケ言う。彼らに既得権益者は敵なのだ。鍵を握るのは議会勢力ではない。「あくまで有権者」と見定めるべきだ。

 安倍首相は維新の勝利に内心、ホッとしているだろう。もしも負けていたら、大阪の改革がストップするだけでなく、悲願の憲法改正も断念せざるを得なくなる懸念があった。政権与党の公明党が改憲に慎重姿勢を保つなか、維新は改憲の国会発議に貴重な勢力であるからだ。

 もう一つの注目点は、北海道である。

 ここは自民党と公明党が推した鈴木直道氏が、立憲と国民、共産、自由、社民が統一候補として支援した石川知裕氏を1・6倍以上の大差を付けて退けた。

 北海道は野党が強い地盤を誇っている。石川氏は知名度もある。そこで、「野党が統一しても、与党に勝てない」ことを実証したのは、野党の人気のなさを証明している。野党各党には衝撃だろう。これも参院選を占う材料になる。

 福岡では、麻生太郎副総理兼財務相が推した新人が3・7倍以上の大差で負け、島根も竹下亘前党総務会長らが推した新人が負けた。自民党の大物議員が応援しても勝てなかったのは、地方選は「地元の声が最優先」という時代の流れを告げている。

 これも安倍政権に悪い話ではない。

 地方の活性化を担うのは、あくまで地方自身だ。世代交代は、各地の県議選や市議選でも確実に進んだ。今回の結果には、有権者の政治意識が研ぎ澄まされてきた気配が感じられる。それもまた7月参院選、いや、もしかしたら「衆参ダブル選」に反映されるのではないか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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