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「増税延期」安倍首相の決断は… 衆参ダブル選の公算大きい!?

 まもなく、「平成」が終わる。この30年間は、内外ともに激動の時代だった。とりわけ、日本は地震など大災害に見舞われ続けた。

 それでも日本人は慌てふためかず、淡々と悲しみや苦しみを乗り越えて「令和」の時代を迎えようとしている。実に誇らしい。指導者が迷走を続け、国民生活が脅かされている隣国とは大違いである。

 平成の時代を振り返れば、元(1989)年にベルリンの壁が壊され、米ソ冷戦が終結した。これで平和が訪れるかと思いきや、3(91)年に湾岸戦争が勃発し、中東の動乱が始まった。同じ年にソ連が崩壊した。

 ソ連の崩壊は、国家や国民を持たない過激派による「テロの時代」の幕開けでもあった。13年(2001年)に米中枢同時多発テロが起き、これ以降、毎年のように各地で凄惨(せいさん)な事件が繰り返された。

 日本では7(1995)年に地下鉄サリン事件が起きた。オウム王国の樹立を目指した彼らの企ては、世界のテロ集団と比べれば、はるかに幼稚ではあったが、国家の枠組みを否定しようとした点では共通している。

 テロはいまも続く。先日はスリランカで日本人を含め359人の死者(24日時点)を出す連続爆破事件が起きた。

 日本では7年に阪神・淡路大震災、23(2011)年に東日本大震災、28(16)年に熊本地震、さらに、平成30年7月豪雨と大災害が続いた。

 それぞれ、被災者は膨大な数に上ったが、災害が起きるたびに、大勢のボランティアが駆けつけている。私が心を打たれたのは、多くの被災地に駆けつけて無償の支援を続けている「スーパーボランティア」の尾畠春夫さんだ。

 尾畠さんは昨年8月、山口県周防大島町で行方不明になっていた2歳児を一人で探し出して家族に手渡した。「平成のヒーローを1人挙げよ」と言われたら、私は躊躇(ちゅうちょ)なく尾畠さんを挙げる。人に優しく、自己犠牲をいとわない「日本人の魂」を行動で示しているからだ。

 平成は「消費税の時代」でもあった。3%の消費税が初めて導入されたのは、元年だ。その後、9(1997)年に5%に引き上げられ、26(2014)年に8%になった。令和元年の今年10月には、10%に引き上げられようとしている。

 私は景気が良すぎて、過熱を抑えるために増税するなら、反対しない。だが、米中貿易戦争と英国の欧州連合(EU)離脱問題で世界的に不透明感が強まっているときに、増税するのは「断崖絶壁から海に飛び込むような冒険」ではないか。

 21日の衆院補選では自民党が2敗を喫した。それより先、自民党の萩生田光一幹事長代行はインターネット番組「真相深入り! 虎ノ門ニュース」で増税延期の可能性を示唆した。観測気球だろうが、増税は確定していない証拠である。

 安倍晋三首相は6月末に大阪で開かれるG20(主要20カ国・地域)首脳会議で議長を務め、世界経済の不透明感を払拭しなければならない立場だ。そんな首相が増税を決められるだろうか。

 私は安倍首相が増税延期を決断して、夏の参院選に合わせて衆院を解散し、「衆参ダブル選」に打って出る公算が大きいとみる。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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