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「男の欲望」に丸ごと応える街だった… 怒号と金が飛び交う賭場

★変化を続けるマカオ(2)

 外資カジノの参入により、マカオ社会にはさまざまな変化が起きている。その一つが渡航目的の変化だ。ベネチアン・マカオ社長(当時)のワイドナー氏は2007年のオープニングの際、マカオが「日帰りの島から何日も滞在する最終目的地に変わる」と語った。それまでのマカオというのは、もっぱらギャンブルと性風俗を目的として、香港から日帰りで来る島だったからだ。

 当時を少し振り返ってみよう。マカオへは通常、香港からフェリーで渡ったが、その乗り場に立つだけで、これから行くマカオがどんな街かを想像させられた。乗り場の目と鼻の先に代理店があったのだが、何の予約ができるかというと、マカオで利用するナイトクラブだったのである。

 【フェリー乗り場の代理店】

 旅先での現地ツアーを予約するという話ならよくあるが、ナイトクラブというのはいかにもマカオらしいといえた。

 このところ、人の趣味や嗜好に性差を持ち出すことが難しい世の中にはなってきているが、ギャンブルや性風俗に興味を持つのはやはり男性が多いのは事実である。

 マカオにやってきて、彼らはその2つに明け暮れる。何日も滞在することはなく、1泊2日や0泊2日の弾丸ツアーで自らの欲望を満たそうとする。

 マカオにフェリーで到着すると、すぐ目の前に大きな歓楽施設があった。地元民から通称「ハイアライ」と言われていた建物で、カジノをはじめサッカーくじの売り場、ある時期にはパチンコ屋まで営業していた。もちろん飲食店やナイトクラブのほか、マッサージ店や風俗店もあり、男の欲望を丸ごと詰め込んだような場所だった。

 【通称「ハイアライ」】

 はじめてここに来た時は衝撃的だった。ボディーチェックを受けてカジノに入った途端、たちまち面食らった。中はぎっしり満員で、香港映画に出てくるようなコワモテのおじさんがズラリとテーブルに並び、広東語を叫びながらギャンブルをしていた。

 ぼくは世間知らずの若造で、カジノといってもしょせんラスベガスで遊んだ程度。そんなヒヨコから見て、マカオのカジノはラスベガスとは似ても似つかぬ代物で、これが同じカジノとは…と驚かされた。

 バカラでカードを引く際に彼らが大声で叫び、テーブルが壊れてしまうほどブッたたくのを見て、ヤバいところに来たものだと思った。中には女性客もいたが、おっさん顔負けのドスの効いたおばさんばかり。野太い声で広東語を叫び、同じようにテーブルをブッたたいていた。

 勝てば賭け金を増し、負けても他のテーブルに移動するだけで、いっときもギャンブルから離れない。彼らはサンドイッチを注文し、食べながらギャンブルを続け、一生この部屋から出ないんじゃないかと思われるほどカジノに居座っていた。

 その姿はおよそ「観光地を巡る」とか「リゾートを楽しむ」なんてイメージとはかけ離れていた。(作家・松井政就)

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