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“八方塞り”中国&北朝鮮に対応迫る日米首脳会談

 ドナルド・トランプ米大統領夫妻が25日から28日まで、国賓として日本を訪問する。元号が「令和」に変わってから、初めて天皇陛下に会見する外国の元首夫妻になる。

 トランプ氏は滞在中、安倍晋三首相と会談し、米中貿易戦争や朝鮮半島情勢などについて意見交換する予定だ。今回の来日をどうみるか。

 日本にとっては、米国との強固な同盟関係を世界にアピールする最高の機会になる。安倍首相は先月末、米国を訪れて、トランプ氏と会談したばかりだ。大統領は6月末に大阪で開かれるG20(主要20カ国・地域)首脳会議でも来日し、安倍首相と会談する。

 月に1回のペースでトランプ氏と会談する形になる。世界を見渡しても、これほど強い米国との絆はない。

 まして東アジアでは、文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓国が、北朝鮮に接近して「米国離れ」の気配を示しているから、なおさらだ。「日米vs中朝+韓」の構図が強まるなか、これから韓国をどう扱うかは安倍・トランプ会談の焦点の1つになる。

 そんな韓国はもちろん、中国と北朝鮮も日米会談の行方には気が気でないだろう。

 中国は貿易問題で米国と激しく対立している。トランプ政権の制裁強化に対し、中国はすぐさま報復に出たが、どう見ても中国に勝ち目はない。そもそも、中国の米国からの輸入量が米国の輸入量に比べて4分の1程度しかないのに加えて、米国からみれば、多くの中国製品は他国製品で代替可能であるからだ。

 その証拠に、制裁合戦の結果、中国の物価は上昇したが、米国の物価は上がっていない。なぜかといえば、中国の生産者は他国製品に振り替えられたら、完全に市場を失ってしまうので、米国が課した制裁関税分を値下げせざるを得なかったのだ。

 一方、中国が米国から輸入している製品は他国製品に振り替えできず、関税分を価格に転嫁し値上げした。結局、中国の生産者が制裁関税のコストを負担する一方、米国は関税収入分が丸もうけである。中国は「ボロ負け」だ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は先月、年内に「3回目の米朝首脳会談に応じる用意がある」との声明を出した。ところが、一方で5月に入ると、短距離の弾道ミサイルを2度、発射した。

 これでは、米国は痛くもかゆくもない。国内の強硬派をなだめるために、何かせざるを得ないが、「これくらいなら大統領を怒らせないだろう」という中途半端な行動だ。逆に言えば「私も困っている。どうか、私ともう一度会ってください」というラブコールにほかならない。

 一言で言えば、中国も北朝鮮も「八方塞がり」に陥っている。トランプ政権は相手が制裁に音を上げて動くのを待っていればいいだけだ。北朝鮮による日本人拉致問題では、安倍首相も相手の出方待ちだ。無条件で正恩氏との会談に応じる姿勢を示しているのは、呼び水である。

 日米首脳会談は双方が基本認識を確認したうえで、中国と北朝鮮に対して、「ボールはそちら側にある」と対応を迫るかたちになるだろう。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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