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日銀金融緩和は限界ではない! 長短金利操作は実質引き締め、量的緩和復活なら強いメッセージに

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まり、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も金融緩和への姿勢を示している。こうしたなか、日銀が追加緩和する場合、どのような手段があるのか。

 19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を据え置いた。声明文には「先行きの不確実性が増しており、成長持続へ適切な行動をとる」としており、参加者17人のうち8人が2019年中の利下げを予測、年内に金融緩和に転じる可能性が出てきた。

 同日にはトランプ米大統領が20年の大統領選で再選を目指すことを正式に表明した。スローガンは「keep America Great(米国を偉大なままに)」だ。その際、政権の成果として株価上昇や歴史的な失業率の低下を強調した。

 ということは、トランプ氏がFRBに金融緩和を要求するに決まっている。不動産業出身で金融緩和指向があるのに加えて、株価と失業率に着目し、金融政策を活用しようとしているからだ。

 マクロ経済政策として、金融政策と財政政策は車の両輪で、ともに雇用や景気に対する影響がある。金融政策は広く薄く民間需要に対して長期的な効果があるのに対し、財政政策は特定部門に対し強力に働きかけ、短期的な効果が大きい。

 株価や失業率には、どちらかといえば金融政策のほうが効果的なので、トランプ大統領は再選に向けて金融緩和へ圧力を強めるだろう。

 短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、年2・25~2・50%であり、FRBはそのまま据え置いたが、20年末までに政策金利を0・25%下げるという見方が有力になっている。

 ECBも金融緩和の方向にかじを切った。ドラギ総裁は18日、インフレ目標2%実現のためには「あらゆる手段を用いる」と語った。欧州のインフレ率は2%に達せず、5月で1・2%である。

 ECBの政策手段として、金利と量的緩和がある。金利はゼロかマイナスになっているので、量的緩和になるだろう。量的緩和政策は18年12月に終了したばかりだが、ドラギ氏は「まだかなりの余地がある」という。

 このような世界情勢の中、日銀はどうするのだろうか。日銀は現在、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(イールドカーブ・コントロール=YCC)を行っている。これは16年9月に導入されたものだ。本コラムの読者であれば、金融緩和強化ではなく、事実上の引き締めであったことをご存じだろう。

 YCCの枠内であれば、現在10年物の金利目標を0%としているのを、20年物の金利目標を0%にすることが考えられる。しかし、16年9月以前の量的緩和に戻すほうが、より強いメッセージになるだろう。

 日銀は、市場から購入できる国債の限界があるというだろうが、しかし、まだ民間銀行などで400兆円も保有しているので限界になったわけではない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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