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明確になった財務省の復権 「骨太方針」意に介さず財政審建議…不祥事連発でも消費増税へ

 財政制度等審議会(財政審)の建議で、「基礎年金給付水準が想定よりも低くなることが見込まれる」とした記述が削除されたと報じられた。

 財政審は、財務大臣の諮問に応じて国の予算、決算及び会計の制度、財政投融資制度、財政投融資計画及び資金運用部資金等に関する重要事項を調査審議し、財務大臣に意見を述べること等を行う(財務省設置法第7条)。財務大臣に対する意見を建議という。

 建議書は、委員の中で選ばれた起草委員が書いているとされるが、筆者の知る限り、財務省の官僚が下書きをして起草委員が筆を加えることになる。もちろん財務省の官僚もその作業に加わる。

 建議書ができあがるまでは、文案修正の繰り返しである。委員としても、審議会が“政府の隠れみの”で審議会委員はそのための“政府のポチ”だと言われるのはイヤなので、存在感を見せるために文案修正にこだわる人もいる。

 いずれにしても、最終的な建議書ができるまで、文書が修正されるのは当たり前だ。これは財政審に限らず、どんな審議会でも同じだ。新聞記事でも、紙面に載るまでいろいろな人が筆を加えるのだろうし、どのような文書にも言える。むしろ、修正がどのような意図であったかが問われるべきだ。

 年金給付水準が下がっていくというのは、一般論としてその通りだ。もともと給付の所得代替率(手取り収入に対する年金額の割合)は年金制度を維持できないほど高かったのでその調整が必要だからだ。そうした調整を経済状況に応じて行うためにマクロ経済スライドが2004年から導入された。

 デフレ下では、年金数理的には年金給付は減額されるべきだが、実際には減額されなかった。この意味では、この間の給付は割高だったといえる。

 給付が「想定よりも低くなる」という場合、これまでの一般論なのか、最近の具体的水準を意味するのか、筆者には曖昧で分かりにくい。意味不明な文章の削除であれば、よくあることだともいえる。

 問題は文書の修正にあるのではなく、なぜ今、建議が出されたかであると筆者は思う。

 01年に経済財政諮問会議が骨太方針を出す前、財政審建議が経済運営の指針だった。骨太方針が経済運営の指針になってから、財政審建議は、平均20日ほど前に出されるようになった。骨太の方針へ財務省の意向を反映させるためだ。

 ところが、今回は骨太の方針の閣議決定が21日であるのに対し、財政審建議の公表は19日とわずか2日前だ。これまで骨太の方針が6月になることが多かったので、財務省建議は5月に出されることが多かったが、今回は様変わりだ。

 これは、10月の消費増税で象徴されるように、財務省の復権、財務省主導の経済運営を意味している。安倍晋三政権の中で、麻生太郎財務相の位置づけが別格なのだろう。公文書書き換え問題、元次官のセクハラ事件があっても、消費増税しようというのだから、皮肉を込めていえばものすごいの一言だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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