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船内待機は百害あって一利なし!? 新型肺炎、厚労省“後手後手”対応に疑問の声 専門家「水際対策、すでに時機は逸した」

 厚生労働省は12日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者のうち、新たに39人で新型コロナウイルスの感染が判明したと発表した。船内での感染者は計174人。検疫官1人も感染が確認された。隔離生活が続く乗客乗員約3600人の“2次被害”懸念も深刻だ。乗客の全員検査を行うかどうかも不透明で、専門家は、厚労省の後手に回る対応に疑問を呈した。

■医師の上昌広氏「すでに水際対策の時機逸した」

 新たに感染が判明し、医療機関に搬送された乗船者のうち4人は集中治療室(ICU)で治療を受けるなど重症。60~70代の男性で、日本人が3人、外国人が1人。

 1月に下船した香港人男性に感染が確認され、厚労省は今月3日以降、乗客乗員を船内に待機させているが、「すでに『水際対策』の時機を逸していた。船内での待機は百害あって無益だ」と指摘するのは、医師で特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏だ。

 「中国では昨年12月中旬から、人から人への感染が起きていると指摘するリポートが、1月29日に米医学誌で発表された。つまり、日本は1カ月半近くノーガードだったことになる。新型コロナウイルスが国内に入っていることが考えられるため、水際作戦を早々にやめる必要があった」と指摘する。

 船内の感染者数拡大について厚労省幹部は「乗船者に客室待機してもらう対策を講じた後に増えているのかどうかは分からない」とする。

 さらに船内では80代の米国人女性が心不全で搬送された。70代以上の高齢者も多く、薬不足を訴える人も少なくないが、前出の上氏は長期間にわたる待機と検疫についても疑問視する。「乗客には高齢者が多く、隔離すると高血圧や糖尿病などの持病が悪化することは近年の旅行医学の見地からも明らかだ。高齢トラベラーの健康管理の視点が欠けている」

 加藤勝信厚労相はワクチンや、短時間で感染の有無を調べる簡易検査キットの開発について「それなりの時間がかかる」との見解も表明した。

 上氏は「今回の検疫は有史以来最大規模とされるが、イタリアの同様のクルーズ船の検疫で12時間で乗客を解放した例もある。遺伝子検査で陰性となれば、まだ他人にはうつさないので、帰宅させることもできる。簡単な検査なので、国内での検査キット開発にこだわらず、海外から導入すればよい」と指摘する。

 厚労省は中国湖北省への渡航歴や、同省滞在者で症状のある人との濃厚接触者などを検査対象としているが、国内で感染が拡大していた場合、検査態勢の拡大も急務だ。

 上氏は「感染の不安を持つ人が民間のクリニックでも検査を受けられるようにすれば安心できる。国が予算を出して、海外の製薬会社や民間企業などが参入できる市場を作るべきではないか」と提言した。

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