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【最新国防ファイル】120分「空上げ」調理競技会 食のプロが審査し全国の基地に生中継

 航空自衛隊では2018年から、献立の唐揚げを空自全体で上を目指す向上心の象徴として「空上げ」と表記し、定着させるべく力を入れている。各基地が所在する地元の食材などを使い、空自の定番料理としてだけでなく、食文化として普及させることも目的の一つだ。

 全国に点在する基地で、オリジナル「空上げ」が続々と誕生していった。そこで、各部隊単位などで、競技会を実施して、給養(調理)員の腕を磨き上げてきた。

 20年2月5日、入間基地(埼玉県)において「調理競技会」が実施された。課題はもちろん「空上げ」。いわば全国大会といえるもので、空自初の試みとなる。参加したのは、これまで実施してきた地区大会にあたる各競技会で優勝してきた10チームだ。

 基地内の食堂に特設厨房(ちゅうぼう)が設けられた。丸茂吉成航空幕僚長を競技会長とし、各審査員が調理風景を見つめる。テレビの料理対決番組のように実況席が用意され、ベテラン給養員が各厨房の調理の様子を解説した。全国の基地にも生中継された。

 ルールは120分で「空上げ」をつくること。実食審査および展示用として20食分をつくる。ただし、「空上げ」によっては、味付けなどの下処理が必要なため、競技時間とは別に60分が与えられた。添え物として、ご飯とみそ汁も一緒に出す。これはあくまで「空上げ」が給食の一つである大前提を崩さないためだ。そのため、1食分にかかる値段もきっちりと決められていた。

 栄養士や調理経験のある者が調理過程をチェックする。大量喫食を目的とするため、調理手順だけでなく、衛生管理も大事なポイントだ。競技時間や予算を超えるものは減点となる。

 出場した給養員は、この道20年以上のベテランから、2年の新人までさまざま。静浜基地(静岡県)のサクラエビ、長沼分屯基地(北海道)のジンギスカン風など、それぞれの地元名産品を使ったり、味付けにも地方色を出した。下味だけでなく、揚げ方もいろいろだ。180度の高温でカラッと揚げるのが定番のなか、120度と低温でじっくり揚げるなど、工夫を凝らした給養員もいた。

 こうして競技終了。実食審査となる。審査員には食のプロである、ホテルグランドヒル市ヶ谷の洋食総料理長、小山浩氏も参加するなど本格的に行われた。

 結果、最優秀賞に選ばれたのは、経ヶ岬(きょうがみさき)分屯基地(京都府)だった。献立名は、京都の名産品である七味をきかせた「七味鶏」。調理経験22年を誇る千原誠児2曹が丹精込めて作った。「可能な限り、水分を含ませて肉を柔らかくしたのが評価されたと思う。また、七味の香り、辛さが出汁(だし)と合わさって、次も食べたくなると感じてもらえた」と語った。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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