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「公開対局」 昔は実現しなかった「生」も、今では大盛況!

 公開対局とは、観衆の見ている中で指す対局のこと。スポーツでは当然のことで、むしろ観衆のいない試合の方が不思議と言える。しかし将棋は部屋の中で行う試合だけに、昔から生の対局をファンが見ることはできなかった。

 ファンの前で指すのを前提とした棋戦の始まりが「JT杯将棋日本シリーズ」だ。12人のトップ棋士が全国各地で公開対局を行い、優勝を決めるシステムで、最近は決勝が東京となっている。

 すぐ隣で行う大盤解説を、最初の頃は解説者がどう解説をしたら良いか、困っていたようだが、慣れてくれば形勢をハッキリ言うとか、「詰みがありますね」等さえ言わなければ、影響がないことが判明。対局者にしても解説者の気楽な発言など聞いている余裕はないのだ。

 印象に残るのが王将戦における、徳島県鳴門市・大塚美術館「システィーナ・ホール」内での公開対局。聖堂を実物大にした空間での、初手から終局までの公開で、入館者はいつでも対局が見られるというものだった。最近では竜王戦第1局が、東京・渋谷のセルリアンタワー内「能楽堂」にて、毎年公開で行われている。

 そして公開と言えば、朝日杯将棋オープン戦の準決勝と決勝を、有楽町マリオンの「朝日ホール」で見るのを楽しみにしているファンが多くいる。

 今年の準決勝は今週の11日、藤井聡太七段-千田翔太七段。永瀬拓矢二冠-阿久津主税八段で戦われた。

 藤井はこれまで2連覇で、今年の3連覇を楽しみに来た人も多かったようだが、千田もタイトル戦に2度出場した強豪。角換わり腰掛銀の最新形から研究済みか、一気に畳み込んで、藤井の粘りを許さず寄せ切った。

 決勝は永瀬-千田戦となったが、ホールでの対局観戦でなく、階下の解説会に藤井がゲスト出演するとあって、こちらも大勢が詰めかけた。

 解説は木村一基王位と上田初美女流四段だが、藤井と師匠の杉本昌隆八段が入ると、藤井を少しイジリながらの軽妙な木村節が冴え、観客も大いに沸いた。

 結果は終盤、永瀬の信じられない錯覚があり、あっさり千田が勝利し、初優勝を遂げた。

 現在は観戦が有料となっているが、これだけ楽しく観戦できれば、すぐに券が売り切れるのも納得か。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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