zakzak

記事詳細

《zak女の雄叫び お題は「挑む」》好きなことを極める

 私史上、最高額の書籍を購入しました。その額、なんと3万5千円(税別)。小学館が発行するおよそ半世紀ぶりの日本刀の大型本『名刀大全』です。1000年にも及ぶ日本刀の歴史の中から、「これぞ名刀」と思われる200点を厳選。一部は、等身大、ならぬ“刀身大”(原寸)のカラー写真で印刷されている迫力の図版編と、最新の研究成果や解説に重きを置いた解説編の2冊がセットになって、立派な箱に入っています。

 日本史好きで、ここ数年は刀剣が人の形をとって戦うゲーム「刀剣乱舞」の影響ですっかり「刀剣女子」(刀剣が好きな女性のこと)になっている私。名刀が一堂に会する大型展が開かれるとつい、京都だ、福岡だと全国を飛び回ってしまいます。刀剣の維持管理や新規購入、復元刀の制作などを目指す自治体や寺社にふるさと納税や募金をしたり…。日本文化のためと言い聞かせてみるものの、オタクというのは好きなものにはいくらでもお金をつぎ込みたい生き物です。

 さて、先日とある社内の会議で、刀剣女子について説明を求められる機会がありました。自分の趣味についていろいろな人に話していた結果ではあるのですが、趣味と仕事の境界線をしっかりさせたい私にとって、何とも不思議な経験でした。

 記者というのは、多くの人に会って話を聞くのが仕事です。好きな芸能人や作家にも、学生時代に研究対象にしていた政治家にも会う機会はあります。それだけに私は「趣味を仕事にしない」と、私的な「好きなもの」と仕事をなるべく分けてきたつもりでした。

 ところが、インターネットの発達により誰もが発信できる時代になると、マスコミに求められるものも変わってきました。ネット上には、記者がにわか勉強をして発信する記事より、何倍も深く面白い記事を発信するファン(オタク)があふれています。いくら良い取材をしても、そうした人たちの発する情報にかなわないことは多々あります。それゆえ、自分の好きなものを極め、仕事につなげることも必要になってきたのかもしれません。

 という理屈をつけて、好きなものを極めようと決心して購入した『名刀大全』。せっかくなら何度もめくって刀剣の魅力を余すことなく味わいたいと思いつつ、美しすぎる本ゆえに開いて汚すのが嫌だというジレンマ。購入から1週間たっても、外箱を眺めて「今日こそ開くぞ」と挑んでは敗れる日々です。(み)

 ◇ 

 演劇大好きなアラフォー根無し草。そろそろ春先のアイツが憎い季節なのに、マスクがない!

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。2月のお題は「挑む」です。

アクセスランキング