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【日本の選択】安倍首相のヤジは擁護できないが… 「腐る以前に食えない」野党の“健全化”こそが日本の民主主義に必要

 立憲民主党の辻元清美議員が12日の衆院予算委員会で質問に立った。内容は、首相主催の「桜を見る会」や、モリカケ問題、週刊文春が報じた和泉洋人首相補佐官と厚労省の大坪寛子官房審議官の関係などで、公私混同を正せ-という趣旨であった。

 質問の最後に、辻元氏は「鯛は頭から腐る」との言葉を引きながら、政権の頭である安倍晋三首相自身が辞職せよとの“捨てゼリフ”のような発言をした。

 これに対し、安倍首相が「意味のない質問だ」と自席からヤジを飛ばした。これに左派野党は猛反発して、一時は懲罰動議を提出するといった騒ぎにまで発展した。

 私は、安倍首相が「意味のない質問だ」などと不規則発言をしたことを擁護するつもりはない。議会制民主主義において、野党議員の質問に真摯(しんし)に答えていくことが、首相の責任に他ならないと考えているからだ。

 議会制民主主義の理念とは、与野党が熟議を尽くした結果、当初の政府・与党案よりも、より卓越した結論に至るという理念だ。

 この際、重要になってくるのは、野党の存在である。野党が与党以上に建設的な意見を提出したり、与党案の根本的な瑕疵(かし)を指摘することによって、政府・与党案が修正され、国民生活がより向上するというのが議会制民主主義の目標である。繰り返しになるが、野党が重要な役割を果たす。

 翻って、わが国の状況はどうであろうか。

 野党、とりわけ立憲民主党などの左派野党は、政府・与党に対して建設的な提案をすることよりも、血眼になってスキャンダルを暴き立てようとしている。週刊誌の情報をもとに与党を攻撃するのであれば、いっそのこと週刊誌の記者が政治家を務めた方がよいのではないかと思えてくる。

 そう考えてみると、辻元氏は実に含蓄のあるセリフを吐いたというべきだろう。

 「鯛は頭から腐る」という辻元氏の言葉を聞いたとき、私が直ちに思いついたのは、「その故事は『腐っても鯛』では?」ということだった。与党に長期政権の驕りや油断があるのは事実だ。とりわけ、新型肺炎の問題に関して、初期の対策を誤ってしまったのは大いに反省すべきことである。

 しかしながら、「腐っても鯛」なのだ。腐る以前から国民が到底口にすることのできないドブネズミとは違うのだ。

 野党の議員が反省すべきは、「腐っても鯛」以下の状態にある野党の現状である。二大政党制を志向する小選挙区制度を導入しながら、実際には政権交代の可能性が皆無な状況が続いているのは、国民が自民党のことを「腐っても鯛」だと思い、野党を腐る以前に食することのできない存在だと認識されているからだ。

 野党の健全化こそが、日本の民主主義に必要と言わざるを得ない。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。

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