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本論そっちのけな「反権力」「反政権」メディアに物申す! 新型肺炎はどうした?

 おかげさまで、拙著『「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から』(新潮新書)が3刷となりました。このコラムの読者の方々をはじめ、みなさんが支えてくださったおかげで、私にとって望外の喜びです。ありがとうございます。

 さて、タイトルがちょっと刺激的なためか、「では、権力に擦り寄ることが正義なのか!?」というご批判をいただきました。タイトルだけ見ると、そういった読み替えもできてしまいます。

 ただ、私が問おうとしたのは「反権力」とスタンスを決めてから報道しようとすると、結論がある程度縛られてしまう。取材によって想定外のものが出てきたときに矛盾し、論理がねじ曲がってしまうのではないか? それがマスコミの閉鎖感や、視聴者・読者の不信につながっているのではないか? という問題提起でした。

 それを端的に表すのが、先月から始まった国会をめぐる報道です。

 予算委員会での実質審議が始まった翌日(1月28日)、初日の攻防を踏まえて新聞各紙の社説が並びました。その見出しの違いに驚きました。

 朝日新聞は「首相の答弁 疑念晴らす気あるのか」。

 まるで、国会がお白洲の場であるかのよう。「この期に及んで御託並べるとは、ふてぇ野郎だ!」という気持ちが乗り移ったかのようです。

 しかし、ちょっと待ってほしい(朝日風)。確かに、桜を見る会での政府の対応にはマズさもあるし、世論調査では一連の問題がけしからんという人が7割を超えています。ですが、国会というところは疑惑を追及し、政権を追い詰めるためだけにあるのでしょうか?

 一方の読売新聞は「衆院予算審議 政策論争を置き去りにするな」。

 多くの国民は、こちらの見出しの方がしっくりくるのではないでしょうか。国会本来の仕事が何であるのか? 青臭い言い方かもしれませんが、法律をつくり政策を実現し、国民生活の向上を目指すことこそが、本来の役割でありましょう。

 連日報道されているように、中国湖北省武漢市で発生した、新型コロナウイルスの国内での蔓延(まんえん)をどう阻止するかや、海外の在留邦人をどう退避させるのかという問題の方が喫緊の課題です。

 そして、中国経済が新型コロナウイルスで失速し、英国のEU離脱、米国景気の減速など、海外経済が先行き不透明な中で、足元の悪化しつつある国内経済をどう立て直していくのかも重要です。中東情勢と自衛隊派遣など、議論しなければならない問題が山積しています。

 それらの本論を差し置いて、「反権力」「反政権」とスタンスを決めて報じ、桜を見る会の問題で、自分たちと同じように政権を批判しなければ「政権寄りだ」と決めつける。こうした姿勢は多くの国民にどう映るのでしょうか?

 うんざりした冷めた目で「仕事しろよ」と言われるだけだと思います。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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