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【永田町血風録】またもやブーメラン…それでも止まらない民主党の「政治とカネ」追及

ニュースカテゴリ:政治・社会

【永田町血風録】またもやブーメラン…それでも止まらない民主党の「政治とカネ」追及

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 10月29日、自らの政治団体の政治資金収支報告をめぐる問題で記者団の取材に応じる民主党の枝野幹事長=国会  無風と見られていた臨時国会に「政治とカネ」の問題が襲いかかり、第2次安倍晋三改造内閣の目玉である2人の女性閣僚がダブル辞任する事態に至った。野党・民主党は安倍政権を追い落とす好機ととらえ、激しく攻勢に出ている。ところが、追及が自らに跳ね返ってくる民主党のお家芸といえる「ブーメラン」は、今回も健在だった。

 「殺人や強盗や窃盗や盗聴を行った革マル派活動家が影響力を行使しうる、指導的立場に浸透しているとみられる団体から、約800万円の献金を受けていた」

 安倍晋三首相は10月30日の衆院予算委員会で、民主党の枝野幸男幹事長に「政治とカネ」に関する質問を受けた際、こう反撃してみせた。

 枝野氏は「私は、首相も社会的な存在として認める連合(日本労働組合総連合会)加盟の産別とはお付き合いをしているが、そうした所の中にいろんな方がいる…」と即座に反論したものの、弁護士出身らしい鋭い切り返しにはほど遠かった。

 それもそのはず。10月28日には関係政治団体「アッチェル・えだの幸男と21世紀をつくる会」が、平成23年の政治資金収支報告書に、同年2月の新年会の収入240万円を記載していないことが判明した。小渕優子前経済産業相は、関係する資金管理団体が観劇会に伴う収入を記載していなかったことなどを問題視されて辞任した。枝野氏は「軽率なミス」などと釈明するが、「収入を不記載」という点では同じ構図とみられても仕方ないだろう。

 10月28日には、望月義夫環境相の後援会が、別の会合の費用など660万円を賀詞交歓会の支出と偽って政治資金収支報告書に計上していた問題などが発覚。望月氏は、「支出に計上されている額に相当する組織活動費を支出していた。寄付に該当するような違法な支出ではなかったものの、当時、この種の支出が社会的に批判されていたこともあり、そのまま計上することを(死去している)妻がはばかり、その額に見合う支出であった賀詞交歓会の支出をそのまま計上した」と釈明した。「はばかり」という点で故意を認めており、虚偽記載を禁じる政治資金規正法に抵触する可能性があり、民主党は追及の準備に入っていた。

 そのさなかの枝野氏の問題発覚で、追及すれば「お前が言うな」と言われかねない。 

 自民党の佐藤勉国対委員長は10月29日、「人のやることなので、どうしても間違いはでてくるんだと思う。自分の政治資金収支報告書なりを検分して、政策で議論ができるような国会になっていただきたいなと思う。私どもは対抗して追及していくという気持ちにはならない」と晴れやかな表情で語った。佐藤氏は、野党による「政治とカネ」で2閣僚が辞任して国会の審議日程が遅れたあおりをモロに受けていただけに、両成敗としたい思いがにじんでいる。

 これとは別に、人知れず炸裂していたブーメランもあった。

 10月24日に開かれた参院の自民・民主両党の国対委員長会談で、関税2法案の参院本会議での審議入り日程について話し合われた。このなかで、自民党側から「衆院側から、麻生太郎副総理兼財務相の出張があるので、11月12日の参院本会議で審議できるように送ってほしいとの話がある」との趣旨が伝えられた。これに民主党側は「なぜ参院の日程について衆院の『与党』が言ってくるんだ。野党から与党だけでなく、参院として衆院にも抗議する」と激怒して会談は中断になった。

 しかし、「12日の本会議」を言い出したのは民主党サイドだったことが分かり、衆参の連絡ミスを露呈した民主党側はバツの悪い思いをするハメになった。

 民主党には、過去の言動が自らに跳ね返る“長距離ブーメラン”もある。

 例えば、宮沢洋一経産相の資金管理団体がSMバーに支出していたが、過去には、政治資金でキャバクラなどの飲食店に通っていたことを糾弾された5人の民主党議員「キャバクラファイブ」がいた。キャミソールを購入していたことがばれた当時の閣僚もいた。選挙区でうちわを配布していた問題で辞任した松島みどり前法相を追及していた蓮舫参院議員もうちわ状のビラを配っていたことがある。もっとも、選挙管理委員会に認められているということだが…。

 野田佳彦政権末期に田中慶秋法相(当時)が外国人が経営する企業から献金を受けていたことが明らかになると、自民党総裁だった首相は「事実なら当然、辞任を求めざるを得ない。国益や主権とは何かとの認識が欠落している」と述べていた。

 就任したばかりの宮沢経産相が代表を務めていた自民党の選挙区支部が、外国人の持ち株比率が過半数を占める企業から献金を受け取っていた問題が発覚。民主党の海江田万里代表は10月27日の記者会見で「首相が自民党総裁として、非常に厳しく辞任すべきだとはっきり何度も繰り返していたことを覚えている。その言葉をそのままお返しをしたい」と述べた。

 ともあれ、10月26、27日両日に報じられた民主党の支持率は、朝日新聞で前回比1ポイント増の6%だったが、フジテレビ系「新報道2001」では同1.8ポイント減の5%、日経は6%で横ばいだった。「新報道2001」では野党のライバルといえる維新の党の支持率が上がったのは民主党関係者に衝撃が走った。しかし、「新報道2001」の翌週の最新調査では、民主党の支持率は野党転落後、初めて10%を超えた。このまま上昇基調となればいいのだが…。

 とはいえ、民主党関係者は「追及に国民は飽きている」と述べ、「政治とカネ」を取り上げる作戦を見直す必要があると指摘する。しかも、「自民党が野党だったときは衆参がねじれていて、参院で問責決議をして審議拒否して閣僚の辞任や内閣改造を待つという黄金パターンがあり、ダイナミックだった。昨年の参院選でねじれが解消したことで、決め手に欠けるのは事実だ」と嘆いた。

 果たして、民主党は「政治とカネ」の追及を続けるのか。ブーメランがあっても、世論が冷めていても、“麻薬”にとりつかれたようであれば、なかなかやめられない。(政治部 沢田大典)

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