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オバマ大統領広島訪問は中国の歴史「加害者」カードを砕く一撃だった 

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オバマ大統領広島訪問は中国の歴史「加害者」カードを砕く一撃だった 

 私自身は演説に盛り込まれた言葉より、献花に訪れたオバマ氏の行動の方がより重要であると思う。それは任期の間際に成し遂げたオバマ氏の外交遺産になり、日本を「米中共通の敵」とする江沢民元中国国家主席の外交遺産を打ち砕く一撃でもあったからだ。

 反日を体制維持に利用する中国指導部には、日本が被害者の立場になっては都合が悪いのだ。中国は主要国の中で、いまも核の増強を続ける唯一の国であり、日本の「被害者イメージ」が高まると、日米分断の切り札にこの「加害者カード」が使えなくなる。

 1989年の天安門事件で、共産主義イデオロギーの●落(ちょうらく)に直面し、江主席が頼ったのがナショナリズムの高揚であった。反日教育を現場に取り入れ、ことあるごとに「日本軍国主義の足音がいまも聞こえる」と繰り返した。以来、反日ナショナリズムは、共産党体制を維持する最強のイデオロギーになった。

 忘れられないのは、江主席が97年訪米に際してハワイに立ち寄り、真珠湾記念館で献花したことである。江主席はこのとき、「真珠湾の教訓を忘れるべきではない」として日本を「米中共通の敵」とする記憶を呼び起こした。戦勝国は正義が邪悪に勝ったとの認識だから、その熱狂が人々を鼓舞するとの狙いである。

 後に、江主席が訪日したときの宮中晩餐会でも、過去ばかり語って日本国民のひんしゅくを買った。以来、彼のいう「日本を戦争犯罪でたたき続けろ」との指示は、中国の外交遺産になった。現在の習近平主席も、二言目には「歴史をかがみに」といって、贖罪意識の強い日本人を金縛りにする外交術は変わらない。

 習氏は過去を語るが、オバマ氏は未来を語った。米国はたたきのめした相手国にわびることはしないし、日本も謝罪を求めるような品位のないことはしない。日米戦争は米国にとっての「義戦」であり、大量殺戮の現場を訪れることは難しかったのだ。だからこそ、オバマ氏の広島訪問によって、日米同盟は感情のくびきから解放され、同盟関係は一段と強化されるのである。(産経新聞特別記者 湯浅博)

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  • 安倍首相(左)と握手するオバマ米大統領(27日、広島市中区の平和記念公園代表撮影)

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