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水差した白鵬の休場… 厳正なる公傷制度を復活させては?

 関脇玉鷲の初優勝という夢想だにしない結末で大相撲初場所が終わった。同じマス席でも初日の4万円と千秋楽の4万円では、1万円分くらい価値が違ったのではないか。

 初日は稀勢の里はじめ3横綱の土俵入りが見られ、幕内の取組も21番あったが、稀勢の里が4日目に引退、鶴竜も6日目から休場。大関栃ノ心ら他にも休場が相次いだ。

 1番減り、2番減りで平幕の千代の国、琴勇輝がそろって休んだ11日目からはとうとう18番。おまけに初日から10連勝で独走態勢だった白鵬が、11日目から3連敗すると14日目に“敵前逃亡”のように休場。横綱土俵入りもなくなった。

 白鵬のおかげで、千秋楽の結びは本来なら、出場力士の中で最上位の東大関高安が務めるはずだが、相手が平幕魁聖では不適格で、西大関豪栄道-関脇貴景勝という前代未聞の取組になった。

 「白鵬が右ひざ血腫、左足関節炎で出した診断書の『1週間の加療』なんてのは、協会をなめきっている。小遣い稼ぎの節分(2月4日)には出てくるための“節分用”の診断書だろう」とある親方は苦笑いした。

 それはともかく、相変わらずけが人が多い。休場が続出すると、きまって「稽古が足りない」との声が聞こえてくる。

 「いまの力士は、受け身につながるぶつかり稽古が少ないし、しこや股割など基本にも時間をかけない。ジム通いは熱心で相撲には関係ない、余計な筋肉をつけたがる」とある親方は話す。

 大なり小なり力士は古傷を抱えている。しかし、本場所だ巡業だと、ほとんど休む間がなく、納得いく治療はなかなかできない。古傷の再発が気になり土俵での鍛錬が不足して、けがも出やすいのではないのか。

 「昔のように公傷制度があれば、ゆとりある治療ができるのに」という力士側の声も聞かれる。

 負傷休場し翌場所で全休しても、次の場所は同じ番付に留まるという救済措置だが、平成15年九州場所を最後に、当時の北の湖理事長(元横綱)のツルの一声で廃止された。

 “抜け道”だらけで、かかりつけの医師が大げさに申告した「全治2カ月」の診断書が次から次へと出てきたためだ。力士が制度を悪用して自分たちの首を締めたことになる。

 これでは、体格に恵まれず人の数倍も稽古して古傷を痛めた千代の国や宇良(幕下)らは報われない。公傷を認める代わりに、診断書はかかりつけの病院のほか、相撲協会が指定した病院で二重チェックするようにしたらどうか。さらに休場期間中は給料を半額にすれば、そこまでして休みたいという不届き者もいなくなるだろう。

 連日満員の観客で大盛況だが、力士という“商品”を粗末にしては、手痛いしっぺ返しにあいかねない。 (作家・神谷光男)

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