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プロ野球界は損して得取れ! 無観客開催でも“プライスレス”な意義 野球のコンテンツ価値を見直してもらう好機に (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて開幕延期中のプロ野球は、目標としてきた24日の公式戦開幕を断念し、さらに先延ばしを決定。ウイルスの猛威はとどまることを知らず、新たな開幕日さえ設定できない苦境にあって、ついに最後の手段だった無観客での公式戦開催も視野に入り始めた。球団収入の大半を占める入場料や球場での物販を失うことは痛恨のダメージだが、それでも無観客試合を行うことには“プライスレス”な意義がある。

 3日の12球団代表者会議で開幕戦の再々延期を決議後、斉藤惇コミッショナーは「感染状況は収まるどころか、ますます厳しくなっている。激変期に固定的な日にちを無責任に決めるのは難しい」との認識を示した。

 事実上の無期延期で、開幕は早くても5月下旬から6月上旬に。ただ、本来の開幕日だった3月20日から1カ月たっても、事態が好転しなかったことを考えれば、今後にも何ら保証はない。

 また、感染予防策として球場入場者の定員を定員の2割から最大8割も間引く案が出ていたが、ついに「10割案」も視野に入った。斉藤コミッショナーが「無観客も考慮のひとつにある」と、これまで否定的だった最後の手段に言及したのだ。

 NPBでは昨年度も、公式戦入場者数の12球団合計が最多を更新。各球団とも球場ビジネスに力を入れ、空前の大入りバブルが続いてきた中で、スタンドの無人化はまさかの逆噴射といえる。

 元ソフトバンク球団取締役の桜美林大・小林至教授は「球団収入は12球団の平均で150億円。その半分を占めるチケット、グッズ、球場での飲食の売り上げが無観客なら消える」と指摘する。

 球場に客を入れなくても試合さえできれば放映権料は見込めるが、小林教授は「放映権収入は全体の20%ほど。昔の巨人ならいざ知らず、今は放映権だけで経営が成り立つ球団はない」と話す。

 1試合の放映権が1億円超の巨人戦がほぼ全試合、地上波のゴールデンタイムで生中継され、セ・リーグ各球団も恩恵にあずかれたのは20世紀までの話だ。

 それでも阪神を筆頭に中日、広島などはローカル放送ながら、多くの主催試合が今も地上波で健在。地域密着を進めてきた、一部のパ・リーグ球団も同様だ。

 苦しいのは、地上波中継が滅多になくなった在京球団。それでも巨人は同じ読売グループ内の日本テレビに、BSやCSも含めて主催全試合の放映権を販売している。さらにインターネット配信「DAZN」と年間推定30億円の巨額契約だ。

 Jリーグとは全クラブの包括契約を結ぶDAZNだが、プロ野球の契約は各球団ごと。足元を見られ、わずか数千万円というところもある。つまり無観客開催に伴う大赤字を、放映権料である程度まで補えるのは、“コンテンツ力”のある一握りの球団だけなのだ。

 「幸いプロ野球の親会社は、日本のほかのプロスポーツと比べても体力がある。今年1年くらい公式戦が中止になっても、経営危機になるような球団はまずない」と小林教授。それでも、たとえ無観客でも公式戦を開催することには、大きな意義があると説く。

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