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【球界高校人脈】新庄剛志を輩出した西日本短大付!父親が見せた息子への思い

4.22更新

「野球選手超えた」新庄剛志

 西日本短大付高の前に食堂がある。昭和62年春。新入生の父親が食堂の主人に申し出た。「息子が来たときは、腹いっぱい食べさせてやってください」。新庄剛志の父・英敏さんだった。

 福岡市内から八女市にある高校への進学は、英敏さんのすすめ。

 「息子を成長させるためには、誘惑のない場所にあって寮生活ができるのが条件でした」

 以来3年間、父は毎月、先払いで食堂にお金を渡した。だが息子が食べたのは、かき氷やアイスクリームばかり…。

 当時の西短野球部は、シゴキで有名だった。先輩が屋上から生卵を投げ、割らずに捕ったら免除…という無理難題。新庄はジャンプして卵と自身の落下スピードを合わせ、衝撃をやわらげて、割れずに捕る方法を思いつく。この“シゴキ回避キャッチ”が、プロでの、平凡な飛球さえもジャンプして捕球するプレーに結びついた−。本人はそう、語っている。

 3年生になった新庄らは、部の悪しき伝統だったシゴキを撲滅した。「1番・中堅」で出た3年夏の県大会は決勝で敗れるが、この試合でサイクル安打。一躍、プロの注目を浴びる。阪神−大リーグ−日本ハムで活躍。そのショーマンシップとタレント性で「野球選手の枠を超えた存在」となった新庄の高校時代は、こんな感じだった。

 平成4年夏。西短は右腕・森尾和貴(新日鉄八幡)の力投で、福岡県勢3校目の全国制覇を飾る。この年に阪神でブレークした新庄は、準決勝をアルプススタンドで応援。同期生の西村慎太郎が監督となって出場した同16年夏には、移動用のバスを後輩に贈った。

 明治41年創部の小倉高(旧小倉中、小倉北高)は、昭和20年代に全国制覇2回、準優勝2回の名門。福島一雄(早大−八幡製鉄)は、その全ての大会で投げた。同22、23年の夏は連続優勝。翌年夏は準々決勝で敗れる。夏3連覇を逃した福島は、甲子園の土をポケットに入れる。敗戦選手が土を持ち帰る先がけの選手となった。

 福島の後輩投手に安田猛がいる。早大−大昭和製紙からヤクルト入り。技巧派の左腕エースとして活躍し、81イニング連続無四死球の日本記録を持つ。編成部長などを経て、現在は夕刊フジの評論家を務めている。

 東筑高は、小倉高より古い明治35年の創部。だが、小倉高に勝てない時代が長く続いた。「打倒小倉」の切り札として勧誘されたのが、仰木彬だった。

 父親を戦争で亡くし、2人の妹も病気で失っていた仰木は、母親に慈しまれた。「八幡製鉄に就職して母を安心させたい」と、工業高校への進学を希望。だが、中学野球部での活躍に目をつけた東筑高OBの説得に折れた。

 エースで4番となった昭和28年。夏の県大会の準決勝で、小倉から悲願の勝利を挙げる。チームを初の甲子園に導いたこの年から、テレビ中継が始まった。

 「甲子園でプレーする姿をお袋に見せることができた。喜んでくれたよ」

 南海、中日、西鉄から誘われたが、希望は南海だった。甲子園出場時に練習した大阪球場で、南海の選手を見て憧れる。南海と中日の契約金は100万円。西鉄は60万円だったが、監督・三原脩自ら自宅を訪れ「私に任せなさい」と肩をたたかれたことで“運命を感じた”という。

 西鉄の黄金時代には、二塁手として貢献した。近鉄の監督となってリーグ優勝。オリックスでは日本シリーズも制覇した。師匠の「三原魔術」を継承する「仰木マジック」で名をはせた名将は平成17年、70歳で亡くなった。

 福岡県はいま、私学勢の時代。プロの現役にも好選手が並ぶ。

 東福岡高は、巨人にフリーエージェント移籍した村田修一と、日本ハムのリードオフマン・田中賢介を送りだした。

 村田と1年後輩の田中は、平成10年の甲子園に春夏連続出場。村田は当時エースで、春は横浜高・松坂大輔(レッドソックス)と投げ合って0−3で敗れたが、田中は1安打している。横浜DeNAの吉村裕基は、日大を経た先輩の村田と同じ年に横浜に入り。吉村と同期の右腕・上園啓史は、阪神で新人王に。今季から楽天でプレーしている。

 昨年、首位打者を獲得して巨人の主砲となった長野久義は、筑陽学園の出身。日本ハムのレギュラー外野手に成長した陽岱鋼は福岡一高を巣立った。

 福岡工大城東高から、平成16年のセンバツに出場した柴田講平と西村憲は、阪神でもチームメートに。柴田は当時から中堅を守り、西村は中継ぎ右腕として活躍している。=敬称略(次回は佐賀県編)

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