北に秋波でトランプ氏激怒 おびえる文政権、「THAAD配備」議題外し躍起 米韓首脳会談に波乱の予兆

28日、米ワシントンで講演する韓国の文大統領。首脳会談でトランプ米大統領の逆鱗に触れるのか(AP)

 米ワシントンで行われる米韓首脳会談を前に、韓国政府が神経をとがらせている。両国で立場の異なる在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題を会談から外そうと、躍起になっているのだ。北朝鮮に秋波を送る文在寅(ムン・ジェイン)政権に対してドナルド・トランプ米政権が激怒しているとされ、おびえる韓国側が予防線を張っているのが実情のようだ。

 聯合ニュースによると、文大統領は29日午前(日本時間同日夜~30日未明)に共和党のポール・ライアン下院議長らと懇談会を行い、同日午後にホワイトハウスでトランプ氏夫妻との夕食会に出席。30日午前にマイク・ペンス副大統領と朝鮮戦争戦没者慰霊碑に献花し、その後トランプ氏との首脳会談に臨む。

 韓国紙のハンギョレ新聞(日本語版)は27日、THAADの配備問題については「主な議題ではない」とする青瓦台の見解を伝えた。「THAADの迅速な配備を希望する米国の要求に直ちに応えられないだけに、初の首脳会談で主要に議論するのは望ましくないという韓国政府の意思を示したものとみられる」との分析だ。

 ホワイトハウス高官も主要議題ではないことを認めたが、一方では北朝鮮問題が最重要議題となっている。北ミサイルから韓国、在韓米軍を守るTHAADについて、話題にならないはずがないのだ。

 文政権はTHAADについて、環境影響評価などを理由に挙げて先送りをしようとしている。この動きを米国側は問題視している。

 文政権の北朝鮮を利するような発言も、米国を刺激している。会談を前に訪米した文氏の側近は「北朝鮮が核・ミサイル活動を中断すれば、韓米合同演習や韓国内の米戦略兵器の縮小も可能だ」と発言して物議を醸した。文氏自身も欧米メディアのインタビューで「(北朝鮮との)対話が必要だと信じている。制裁と圧力を通じてだけでは、北朝鮮の核問題を解決できない」と述べた。

 こうした文政権に対し、トランプ氏は「恩知らず」と激怒したと伝えられた。上院議員たちもトランプ氏に対し、「THAADの完全な配備を阻害する手続き的検討作業を促進する方法を模索しなければならない」という内容の公開書簡を送ったと複数の韓国メディアが報じた。議員の中には、大統領選の共和党候補指名レースでトランプ氏と争った有力議員も含まれている。

 米韓両国の認識のズレは、首脳会談後の対応にも表れている。朝鮮日報(日本語版)は27日、米韓首脳会談後の記者会見では、記者からの質問を受け付けないと報じた。

 その背景について、同紙は「THAADなど韓米間の懸案に関連して敏感な質問が出た場合、意見の相違が公になる余地をなくすためのものではないか、との見方もある」と指摘した。

 首脳会談ではTHAAD配備などをめぐり、米側の厳しい要求が予想される。トランプ氏の怒りに触れることで、文氏が現実を認識すればいいのだが…。