平成版「角福戦争」か、石破氏が倒閣始動 額賀派との大連合構想ウラに外相有力視・茂木氏への「強烈アレルギー」

石破―額賀派大連合は清和会の〝天下〟を覆せるのか

 自民党の東京都議選での歴史的惨敗と、安倍晋三内閣の支持率急落を受け、石破茂元幹事長の言動が注目されている。メディアで連日、激しい政権批判を展開しているのだ。こうしたなか、石破派(水月会)と、額賀派(平成研究会)による「大連合構想」がささやかれはじめた。平成研の一部に、石破氏を担ごうという動きがあるという。平成研の源流は「今太閤」と呼ばれた田中角栄元首相にさかのぼる。一方、安倍首相の出身派閥、細田派(清和政策研究会)は、田中氏の宿敵、福田赳夫元首相が創設した。平成版「角福戦争」に発展するのか。 

 「(内閣支持率は)自然現象で下がったのではない。理由があるから下がっている」「(安倍首相らの)立ち居振る舞いが国民の共感を呼ばなかったなど、要素はいろんなものがある」

 石破氏は10日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、こう政権批判を展開した。

 永田町的には「後ろから鉄砲撃つ」ような発言だが、石破氏は都議選(2日投開票)中から突出していた。

 6日の石破派の会合では、「都議会の責任というより、自民党に対する反感があった」「要は『誰の方を向いて仕事しているのか』『本当に国民、都民の方を向いてやっているのか』だ」「言うべきことを言うべき時に言うか、言わないか。『キジも鳴かずば撃たれまい』と言っていると、みんな一緒に運命をともにし、日本がつぶれてしまう」とも述べた。

 自民党はいま、「政局の夏」を迎えている。これまで党内では、国政選挙で4連勝し、衆院の解散権と党の公認権という絶大な力を握る安倍首相への批判・不満は出にくいムードがあった。

 だが、都議選惨敗と内閣支持率急落は、安倍首相と近い人物の疑惑や、細田派出身の閣僚や議員の失言・暴言が直撃したものだ。党内からは「安倍一強」による「おごり」「ゆるみ」への猛烈な批判が出始めている。

 前出の派閥会合でも、石破氏の発言に、所属する議員からは賛同する声が多く上がったという。

 石破派と額賀派の「大連合構想」は、こうした背景で浮上した。

 永田町関係者は「小渕恵三元首相以降、平成研は総理・総裁を輩出していない。そこで、参院を中心に『石破氏を担いではどうか』という意見が出ている。この動きに、今も派内に影響力を持つ青木幹雄元参院幹事長が理解を示している。青木氏は、石破氏を高く評価している。青木氏の息のかかった参院から、一気に機運が盛り上がる可能性がある」と語った。

 前身の田中派以来、「鉄の団結」を誇り、自民党最大派閥として権勢をふるった額賀派だが、2007年に第2派閥に転落した。4日には麻生氏率いる「新麻生派」の結成で、第3派閥にまで落ち込んだ。

 額賀派には「将来の女性総理候補」としての小渕優子元経産相がいたが、14年に「政治とカネ」の問題で経産相を辞任した。それ以降、同派には明確な「ポスト安倍」候補はいない。

 安倍首相は国民に「反省の姿勢」を示し、悲願の憲法改正を成し遂げるために、8月初旬に内閣改造・党幹部人事に踏み切る意向を固めた。

 麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官という「政権の柱」は留任させながらも、「お友達」と揶揄(やゆ)された稲田朋美防衛相、塩崎恭久厚労相らは交代となる見通しだ。岸田文雄外相は党要職で起用し、後任の外相には、茂木敏充政調会長の抜擢(ばってき)が有力視されている。

 実は、茂木氏は平成研の幹部の1人である。これまで、経産相や金融担当相、政調会長を歴任しており、次に外相を務めれば「ポスト安倍」候補となるはずだ。

 だが、前出の永田町関係者は「茂木氏は頭脳明晰(めいせき)で政策にも精通し、安倍首相との関係もいい。だが、人望面でやや欠ける。自身は額賀福志郎会長から派閥を受け継ぎ、派閥をまとめたいと願っているようだが、派内には強烈な『茂木アレルギー』がある」と語った。

 石破派と額賀派の大連合の根底には、こうした派内事情もある。

 平成研の「事実上のオーナー」は現在でも青木氏で、「石破氏も、議員を引退した青木氏を大切にしている」(別の永田町関係者)という。

 昨年夏の参院選では、石破氏は「鳥取・島根合区」で、青木氏の長男である一彦氏を全力で応援した。お互いの利害は一致しているのだ。

 大連合の可能性はどのくらいあるのか。

 永田町関係者は「派閥の現状打開のために、『石破氏を担ぐべきだ』という意見はあるが、離党経験があり、何度も派閥を変えた石破氏を『アイツは裏切り者だ』と唾棄する議員も多い。ただ、派内には、小泉純一郎元首相ら清和会による『平成研潰し』を恨みに思っている面々もいる。大連合は、清和会の天下に終止符を打つチャンスだ。憲法改正論議が大詰めを迎えるなか、『ハト派の平成研』と『タカ派の清和会』という対立構図も描ける。国民にも意義のあることだ」と語っている。

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