進次郎氏、官房副長官に大抜擢なら萩生田氏は交代 安倍首相も小泉内閣で“修行”

進次郎氏にとって閣僚よりも官邸入りが宰相への近道か

 安倍晋三首相が8月3日に断行する方針を固めた内閣改造・党役員人事で、小泉進次郎衆院議員(36)の起用に期待が高まっている。今回の人事では、東京都議選での自民党惨敗や、内閣支持率の急落を受けて、国民に「反省の姿勢」を示し、内外の課題に迅速かつ謙虚に取り組む布陣を敷けるかが焦点だ。官邸周辺には、進次郎氏を官房副長官に抜擢(ばってき)することで、次世代の斬新な意見と感覚を政権運営に取り入れ、国民目線の発信力を高めるべきだとの声もある。

 「豪雨や土砂災害の現場を目の当たりにし、被害の大きさを再確認した」「(政府が復旧費用を支援する)激甚災害の指定を一刻も早く行いたい。国、自治体が一緒になって最短で作業を進めていく」

 安倍首相は12日、九州北部の豪雨災害で甚大な被害を受けた大分、福岡両県の被災地を視察した後、記者団にこう語った。13日朝時点で、死者は29人、行方不明者は約20人。被災自治体のため、地方交付税の繰り上げ配分を13日に決定する方針も明言した。

 迅速な災害対応と並行して、安倍首相は内閣改造・党役員人事に向けた人選と、身体検査を進めているとみられる。

 現時点で、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官という「政権の柱」を留任させる方針のため、新たな人材起用で刷新イメージを打ち出せるかが課題となる。

 内閣支持率が危険水域寸前の30%台まで急落するなか、改造の目玉として待望論が浮上しているのが進次郎氏だ。党農林部会長を務めているため農水相や、若手議員らと「こども保険」を提唱したため厚労相などを推測する向きもある。ただ、官邸関係者は「官房副長官が適任ではないか」と言い、続けた。

 「今回の改造では、稲田朋美防衛相の失言などを踏まえて、安定感のあるベテランを多く起用し、『お友達』は排除する方向だ。進次郎氏は国民的人気はあるが、当選3回。入閣待機組が多数いるなかで嫉妬を買いかねない。官房副長官ならば、安倍首相も当選3回のときに、第2次森喜朗内閣で起用されている。不思議ではない」

 官房副長官は、官房長官を補佐する立場で、政務担当は衆参から1人ずつ、事務担当は1人の計3人。政務副長官の仕事は、官邸と政党や国会との連絡調整や、首相に同行して広報官的役割を務める。事実上、閣僚に準じたポストで「若手の登竜門」といわれる。

 安倍首相は、進次郎氏の父、純一郎元首相の内閣でも官房副長官に再任された。2002年9月の小泉訪朝に同行し、首脳会談で「安易な妥協をすべきではない」と強硬論を主張した。これが北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に日本人拉致を認めさせることにつながった。

 「次世代のホープ」である進次郎氏にも、同様の期待がある。官邸関係者はさらに解説した。

 「官房副長官は通常、首相と同じ派閥の側近議員が選ばれる。ところが、進次郎氏は無派閥で、どちらかといえば安倍首相と敵対する石破茂元幹事長に近い。『お友達』ではないため、国民に『官邸の変化』を伝えることができる。直属の上司となる菅氏とも、同じ神奈川県選出で悪くない。安倍首相は、純一郎氏に自分が鍛えてもらったように、進次郎氏を『将来の宰相』候補として、育てることができる。進次郎氏の厳しい直言にも耳を傾けるだろう」

 進次郎氏は都議選で、党公認候補の応援に入り、次のように語った。

 「自民党に対する今の逆風は否定しようがない。自民党自身がまいた種だ」「いつでも自民党は野党になる立場にあることを忘れてはいけない。いつまでも応援してもらえるのが当たり前だとは思ってはいけない」「皆さんにもう一度、『自民党に頑張ってもらおう』と思ってもらえるよう、真摯(しんし)、謙虚な姿勢で向き合っていきたい」

 まさに、安倍内閣が肝に銘じるべきことだ。

 進次郎氏が起用されれば、「加計学園」問題で、文科省の内部文書に名前があった萩生田光一官房副長官は交代となる。

 一部メディアは「進次郎氏、入閣拒否」と報じるが、どうなりそうか。

 政治評論家の屋山太郎氏は、「今回の人事は、安倍内閣というより、自民党、いや日本のために極めて重要だ。進次郎氏を官房副長官に起用することを、本気で勧めたい」といい、続けた。

 「『加計問題』の参院閉会中審査(10日)を見たが、前川喜平前文科事務次官の主張は話にならない。だが、悪意あるメディアは、安倍内閣が長期化して荒っぽくなっていたことに乗じて、『疑惑がある』『政権のおごりだ』といった印象を広めている」

 閉会中審査では、元文科官僚で、愛媛県前知事の加戸守行(かと・もりゆき)氏も招致され、古巣の岩盤規制を示して「ゆがめられた行政が正された」と発言した。ところが、安倍政権に批判的なメディアは、加戸氏の発言をほぼ無視した。屋山氏は続けた。

 「安倍首相も今回の支持率急落は身に染みたはずだ。憲法改正を見据えて、次は実績と安定感のあるメンバーで内閣を構成するだろう。そして、ぜひ進次郎氏を起用すべきだ。父親は不勉強で勘だけだったが、進次郎氏は大変な勉強家だ。農水相も十分できると思うが、官房副長官の方がいい。国民に世代交代と内閣の変化を感じさせられる。進次郎氏も、永田町と霞が関全体が理解でき、政治家としてプラスになる」

 果たして、安倍首相はどう判断するのか。進次郎氏は受け入れるのか。