加計問題清算で電撃「衆院解散」が浮上 内閣改造後、秋の臨時国会冒頭で? 支持は第2次安倍内閣発足で最低に

参院予算委員会の閉会中審査に臨む安倍首相。起死回生策はあるのか=25日午前、国会

 安倍晋三首相が局面打開のため、「衆院解散」を断行するとの観測が出始めた。安倍首相は24、25両日、衆参予算委員会の閉会中審査に出席し、「加計学園」問題の疑惑払拭に努めたが、議論は平行線をたどった感がある。安倍首相は来月3日に内閣改造・自民党役員人事を断行する。緊迫する東アジア情勢に対応し、悲願の憲法改正を完遂するためにも、新内閣で大胆な経済財政政策や外交政策を打ち出した後、9月にも予定される臨時国会冒頭あたりで起死回生の一手に打って出るのか。

 「(加計側に便宜を図るよう指示したことは)まったくない」「『李下に冠を正さず』という言葉がある。私の友人が関わることだから、疑惑の目が向けられるのはもっともなことだ。常に国民目線に立ち、丁寧なうえにも丁寧に説明を続けたい」

 安倍首相は24日、衆院の閉会中審査で、こう語った。25日も参院の閉会中審査に出席。これまで首相は、野党の質問に怒りをあらわにすることもあったが、今回は感情を抑えながら野党の質問に答えた。

 だが、永田町関係者は「安倍首相が『身の潔白』を完全に証明できたわけではない。野党も首相に致命傷を与えられなかった。現状は大きく変わらず、メディアの厳しい報道は続いている」と指摘した。

 確かに、長年の友人が理事長を務める「加計学園」の獣医学部新設計画を把握したのが「今年1月時点だった」とする安倍首相の答弁には、野党が猛反発している。理事長とは会食やゴルフを繰り返していたため、疑問は当然といえる。

 一方、前川喜平前文科事務次官の証言には不可解な点が多々あった。前川氏と、和泉洋人首相補佐官の主張も真っ向から対立したままだ。

 官邸関係者は「安倍首相は『謙虚に政権運営する姿勢を見せたい』と覚悟して出席したが、想像以上の逆風だった。野党と一部メディアは事実関係を突き詰めるより、『疑惑がある』と印象付けることに重点を置いているようにみえる。局面打開は簡単ではない」と話す。

 閉会中審査でも、世論の批判は収まらないとの見方は強い。

 安倍首相が出席を決めた後の22、23両日、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が実施した合同世論調査によると、安倍内閣の支持率は34・7%(前回比12・9ポイント減)、不支持率は56・1%(同13・2ポイント増)となった。2012年12月の第2次安倍内閣発足後、支持は最低、不支持は最高をそれぞれ記録した。

 内閣支持率が30%未満の「危険水域」に突入した世論調査もある。このまま支持率が下がり続ければ、自民党内で「安倍降ろし」が加速する可能性が強い。安倍首相の宿願といえる拉致問題の解決や、祖父・岸信介元首相の遺志でもある憲法改正には、たどり着けない。

 政治評論家の伊藤達美氏は「現状を打開するためには、解散で信を問うべきだ」といい、続けた。

 「内閣改造・党役員人事で『お友達』は一掃し、答弁能力・野党人脈に通じた重厚なベテランを起用する。そのうえで、(支持率がやや回復すれば)早急に解散すべきだ。『自民党内には大敗する』との声もあるが、最大50議席減で踏みとどまるだろう。解散を打てなければ、首相の権威は有名無実化する」

 これまで永田町では解散日程について、「来年秋まではないだろう」との見方が大半だった。

 安倍首相は、憲法改正を成し遂げるため、今年秋の臨時国会で、自民党の憲法改正原案を衆参憲法審査会に提出することを目指していた。来年秋の総裁選後に、衆院選と国民投票を行い、国民に信を問う-という政治日程を描いていたとみられるが、そんな余裕はなさそうだ。

 政治評論家の小林吉弥氏も「臨時国会の冒頭で解散する可能性は大いにあり得る。支持率が30%台であれば、政権の命運を賭けた『乾坤一擲の勝負』に打って出るはずだ」との分析を示した。

 ただ、「支持率が20%台に落ち込んだ場合は、さすがに解散には踏み切れないだろう。そうなれば、党内で深刻な『安倍降ろし』に発展し、退陣に追い込まれかねない。解散に打って出ても、単独過半数の維持は難しい。党内から責任論が噴出するのは目に見えている」と話した。

 これまで安倍首相の解散権を縛ってきた、衆院小選挙区の区割りを見直す「0増6減」の改正公職選挙法は16日に施行された。次期衆院選から適用されるが、これは逆に「『1票の格差』を1日も早く是正する」という大義名分も立つ。

 北朝鮮をはじめ、東アジア情勢が緊迫するなか、「憲法への自衛隊の存在明記」は重要な課題といえる。また、安倍首相の強固な憲法改正への覚悟と姿勢こそが、左派勢力が倒閣運動に走る最大の要因ともいえる。

 安倍首相は試練の夏をどう乗り越えるのか。

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