韓国映画『軍艦島』反日広告に歪曲 写真は別炭鉱の日本人…「不本意なミスを犯した」

韓国映画「軍艦島」のパンフレット

 戦時中の朝鮮人徴用をめぐり、2015年の世界遺産登録以来、反日運動の主題の一つとなっている長崎市の「軍艦島」(端島)が、韓国で再び話題を呼んでいる。島を舞台にした映画の26日の封切りを前に米国で大々的に流された反日広告では、事実を歪曲(わいきょく)した写真が掲載されていたことが判明。「創作」映画の公開に伴う、両国関係への影響に懸念が広がっている。(ソウル 名村隆寛)

 米ニューヨークのタイムズスクエアの電光掲示板で、今月上旬に流された「軍艦島は地獄島」との意見広告に映っていた炭鉱の坑道で掘削する男性労働者の写真が、軍艦島(端島・長崎市)とは無関係であることを、映像製作に関わった韓国の大学教授が認めた。韓国紙、中央日報が26日、報じた。

 問題の写真は15秒ほどの広告映像に出ているもので、「軍艦島の本当の名は地獄島」との内容の前に「120人が殺された」という文章とともに流された。しかし、写真の労働者は韓国で主張されているような朝鮮人徴用工ではなく、日本人であり、場所も軍艦島の海底炭鉱ではなかったと同紙は伝えた。

 この写真について産経新聞は「端島ではなく筑豊の炭鉱(福岡県)である」と誤りを指摘し、撮影時期も「明治時代中期で朝鮮人徴用ではない」と証拠資料を挙げていた。

 映像の製作と広報を進めた徐敬徳(ソ・ギョンドク)誠信女子大教授は中央日報の取材に対し、「徹底して検証ができず、不本意なミスを犯した。写真の人物が日本人であることを私も今回知った」と誤りを認めたという。

 「軍艦島」の通称で知られる長崎市の端島炭坑を舞台にした韓国映画「軍艦島」(監督・柳昇完(リュ・スンワン))が26日、韓国で一斉に封切られた。

 映画は太平洋戦争末期に、端島炭坑で過酷な労働を「強制」された朝鮮人徴用工ら400人の存在を隠すため、日本軍が炭坑に閉じ込め爆破を試み、朝鮮人が集団で命を懸けて脱出を図るという内容。史実にない話だが、柳監督は韓国メディアに「事実を基にした創作物」と述べている。

 朝鮮人徴用工が坑道内部で死亡する場面のほか、日本人、朝鮮人を問わず、殺害シーンが極めて残酷に描かれている。

 朝鮮人女性が遊郭に強制的に送られたり、旭日旗を引き裂く場面もあり、韓国人の反日感情を強く刺激する作品だ。

 映画の最後には、「明治日本の産業革命遺産」の一つとして「軍艦島」が2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録され、今年中に日本政府が犠牲者を記憶する措置を取るとしたが、まだ実行していない、という趣旨の字幕がスクリーンに流れる。見る者への政治的アピールは強い。

 映画の広告は軍艦島を「朝鮮人には、生きては出られなかった地獄島」と表現。「日本には奇跡。朝鮮人には地獄。軍艦島、まだ終わっていない話」などとも強調している。

 韓国では、日本で徴用された元労働者や遺族らが日本企業を相手に損害賠償を求める訴訟を相次ぎ起こしている。映画が徴用工問題への世論に影響を及ぼす可能性もある。